第3話 夜の学校
ぬぼほっ!? ここは学校? あれれ? さっきまで羊毛フェルトでプッツンしていて、その後、わたしが作ったヘンテコなフェルト人形が喋り出して、それで急に眠くなって……ああ、なるほど、これは夢か。よし寝るか。
「いやいや、この状況で寝るとか、どれだけ
わお。夢の中までついてきちゃったよこの子。やっぱり私が天才すぎるのがいけないのかしら。
「なんでしたり顔で頷いとるんじゃ。よおわからんのう。ひとつ言うておくが、これは夢であって夢でないぞ」
夢であって夢でない? いや、むずい。全然わかんない。
「どういうこと? ていうか今さらだけどなんでしゃべれるの? やっぱりわたしが天才だから?」
「どんだけポジティブなんじゃ。すごいなおぬし。あやかしであるウチの方がびっくりしとるわい」
あやかし? あやかしって
「いや、怪獣は違うじゃろ」
そうなの? 似たようなもんでしょ……ん?
「な、なんでしゃべってないのに考えてることがわかるの?! あ、夢だからか。え、でも夢だけど夢じゃないんだよね? ダメだ、むずかしすぎる! とりあえずわたしが天才だからで納得していい? するね!」
「……おお、すごいのう。いや、あながち間違ってはおらんのだがな。まぁぼちぼち説明してやるから、まずは起き上がって、夜の
おお、なんだか頼もしいというか、えらそうだな。さすが最高傑作。まあ夢(仮)とはいえ、夜の学校を探検なんて、ドキドキしちゃうね!
えーっと、ここはわたしのクラス――五年一組の教室か。おじゃましまーす。わたしの机は……あれ? なんか入ってる。およ、算数と国語の教科書が見当たらないと思ったら忘れてきちゃってたのね。てへへ……ってなんかこれすごいリアルな夢だなぁ。外の
「わたしの夢、すごくない?」
「夢ではないからのう」
ほにょ? やっぱ、なにを言っているのかわからないから、この子が喋っているのはたぶん英語だ。
「あい きゃんと すぴーく いんぐりっしゅ なのじゃ」
ほらね?
あ、誰か来た! あれは……武田先生だ!
「
宿直? 聞いたことないんだけど、そんなのあるんだ? ぶらっくもよくわかんないけど夜遅くまで大変だー……ってやば! わたしがここにいることがバレたら怒られちゃうんじゃない? 武田先生は優しいけど、さすがにまずいよね。どーしよ、どーしよ。うぎゃっ! 懐中電灯向けられた! まぶしっ! と、とりあえず言い訳しなきゃ!
「ち、違うんです! これはわたしが天才すぎるからなんです!」
……あ、あれ? 武田先生気づいてない? えっ、目は合ってるよね?
「……うっ! なんか急に寒気がしてきた。しかも、いま一瞬、喜多のおバカな声が聞こえた気がしたんだが……いるわけないよな。ちょっと最近、こんつめて働きすぎたかなぁ。だいたいなんでうちの学校、いまだに宿直なんかやってんだよ、ブラックすぎんだろ……」
行っちゃった……え、なんで? 見えてないの? 聞こえてないの? ていうかおバカな声ってどういうこと? もしかしてわたしが天才すぎて……。
「いや、もうええじゃろ! ホントにすごいな、おぬし。ウチはおぬしがだんだん怖くなってきたわ」
えーどこが怖いのさ。というか本当にわけわかんないんだけど。
「つまり、ここは現実の学校じゃ。だがあちらの住人にわれらあやかしの存在は
おお、ヘンテコ人形が笑ってるよ。かわいくないなオイ。いやいや、考えるべきことはソコじゃなくて、つまりここはホントの学校で、それで武田先生に見えていないわたしは……え? まさか?
ピロリン!
うわっ、びっくりした。いつの間にか手にスマホを握ってたよ。
『あやかしバトル夜十時をご利用いただき誠にありがとうございます。個体名、喜多ミチカのあやかし
……うっそーん。
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