第25話 2度目の改変へ

皆とショッピングを楽しんだ、数日後。

私は今日、2度目の改変に向かう──。

朝早くに紫苑さんから、「会議室に集まれ」と連絡があり、眠い目を擦りながら会議室に向った。

「……おはようございます……」

「おはようございます……おや?天音さん寝癖が……」

寝癖がついていたらしく、水輝さんが手ぐしで髪を整えてくれた。

「あ、ありがとうございます」

恥ずかしさのあまり顔を伏せる……。

突然、後ろに引っ張られ身体が傾いたと思ったら、硬いものに頬を押し付けれる。

「天音に何してたんだ?水輝」

怒りを秘めた声が聞こえ、見上げると紫苑さんが水輝さんを睨んでいた……。

「寝癖がついていたので、直しただけですよ」

「……本当か?」

今度は私に怪訝な表情を浮かべ、真意を問い掛けてきた。

「は、はい……」

紫苑さんの問い掛けに、首が痛くなるほど縦に振るう──。

私の応えに満足したのか、紫苑さんの表情が和らいで私の頭を撫でた。

「珍しいわね、紫苑ちゃんが水輝に対してそんな事言うなんて……」

紫苑さんの行動が珍しかったのか、皆が私達に注目していた。

「べ、別に普通だ!ほら、ミーティング始めるぞ!」

私を押し返し通り過ぎる紫苑さんの顔は、ほんのり赤いように見えた……。

その後、何事もなかったようにミーティングは進んでいった。

「俺達の前に2回出現した大型天使だが、これからは呼称を『グロース』とする……何人かはもう経験してると思うがグロースは俺達の通信手段の烏を妨害出来るが、ある一定の距離が離れると再び通信が出来る……」

紫苑さんはスクリーンを使って、大型天使改めて、グロースの情報を説明していく。

「更に圧倒的戦闘力と驚異の再生能力は正直……今の俺達じゃ太刀打ちできない……」

「そんな事ない!」と言えたら良いのだろが、私自身グロースの強さは身に染みて知っている……私も異能の暴走があったから倒せただけで、今の状態で倒せと言われても倒せない……。

「対策は見つかるまでは、グロースに出くわしたら無理に戦おうとするな……隙を見つつ即座に撤退だ、それが当面の改変へ行く為の条件だ」

「はい!」

私を含めた全員が返事をする……。

やるせない気持ちはあるものの、実力差が大きい過ぎる以上、納得するしかない。

「今日改変に行くのは、天音、桔梗、絢華だな?」

「そうだよ」

「俺と八雲、一鉄さんも行きます」

「とすると改変に行くのが……天音、桔梗、絢華が1グループ……水輝、八雲、一鉄が2グループ目か分かった、さっきの事を忘れずに気おつけて行ってこい!解散!」

ミーティングを終え、改変に向かう私達は時の間へ向かい、過去へ飛ぶ──。

「気おつけてな!譲ちゃん!」

「はい!皆も気おつけてください!」

今度こそ成功されると、意気込みながら2度目の改変へ向った。

降り立った場所は1度目と同じ場所という事もあり、前回よりも早く辿り着けると思っていたが……着いた瞬間から無数の天使達が待ち構えていた……。

「出待ちとは、品がないですねっ!!」

絢華さんは大剣を振り回し、天使達を薙ぎ払っていく──。

「私達、人気者かしらっ!」

桔梗さんは2丁の銃を構え、次々と天使を撃ち落としていく──。

「烈風付与!」

私も2人に続き、刀に烈風を付与し、ひと振りで多くの天使を吹き飛ばす──。

「2人共!離れてください!!!」

絢華さんが重力操作で高く飛び、天使達の中心に向かって、大剣を振り落とす──。

「天音ちゃん!こっち!」

「はい!!」

私と桔梗さんは衝撃に巻き込まれないように桔梗さんの結界の中で様子を伺う。

ものすごい砂埃が舞い上がり、しばらくすると砂埃が落ち着き周囲が晴れていくと……大半の天使達が消し飛んでおり、中心には絢華さんが何食わぬ顔で立っていた……。

「さあ!道は開けました!先に進みますよ!!」

その後も無造作に湧いてくる天使に散々足止めを受けながら、何とか進んでいく。

「もうすぐです!」

「全く!きりがありません!!」

後少し……後少しで、家に着く。

空を見るとまだ太陽の位置は高く、時間がある事を示唆している。

最後の1本道に差し掛かったところで、突然紫苑さんから烏が飛んできた。

『待て!グロースが居る……撤退だ』

紫苑さんの言葉に私達はピタリと、足を止め物陰に身を隠し、様子を伺う……。

「あれがグロース……」

間違いなくグロースが私の家の前に鎮座している……。

『帰還しろ……』

「行きましょう……」

帰還位置に向けて、皆は動き出す──。

目の前まできたチャンスを手にする事が出来なく歯がゆさで私は動けなかった……。

異能の暴走に頼れば倒せない事もない……。

グロース倒せれば、天使なんて敵じゃない。

刀を握りしめ1歩前に出ると、肩に手を置かれた。

「天音ちゃん気持ちは、分かるわ……でも今は、撤退よ……」

「…………」

桔梗さんの言葉に刀をさらに握りしめ、力を入れすぎて刀が震える……。

「天音さん、頭領命令ですよ」

「……分かりました……」

歯がゆさと後ろ髪引かれる思いで、帰還し、

私の2度目の改変は虚しくも失敗に終わった……。

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