第24話 迷子と迷子
「あれ?皆は……?」
皆と合流した後、昼食を済ませ皆で色々周っていたが商品に夢中になっている隙に皆とはぐれてしまった……。
「とりあえず、ここのエリアを一周してみよう……」
スマホに電話をかけてみたが、皆バッグの中に入っているのかで、繋がらない──。
館内地図を見ながら、自分自身が何処に居て、どのエリアかを確認し、歩き出す。
「ここには……居ない…………ここにも居ない」
あっちこっち探しても、見つからず手当り次第探していた。
「あれ?変な所に入っちゃった……」
夢中で探していたら、気づいたら『関係者以外立入禁止』の看板が目の前にあった……。
「流石に居ないよね…………え?」
突然、後ろから腕を引っ張られ、見てみると……私の腕にしがみつく男の子が居た──。
「えっと……どうしたのかな?迷子?」
「……うん、ママ居なくなっちゃった……」
男の子は今にも泣き出しそうな顔で私を見ている。
家族を失くしてる私は、今の男の子を自分と重ねてしまい、放っとけなくて男の子の手を引く。
「お姉ちゃんが、一緒にママを探してあげる」
「……ほんと?」
「うん!だから泣かないで……」
「ありがとう、お姉ちゃん」
私は男の子と手を繋ぎ、男の子のママと皆を探し始めた。
「じゃあ、お姉ちゃんも迷子なの?」
「そうだよー君と同じだね!」
「うん!同じだね!」
男の子が疲れないように休憩をはさみながら
探し続けた。
かなりの時間探したが、ショッピングモールが大きすぎて全く見つからず……。
恥を忍び迷子センターに行くしかないと覚悟を決めた時……。
「天音ちゃんー!!皆居たわよー!!」
遠くの方から皆の姿が見え、私は安堵した。
「皆さん!!」
私は、皆との元に走り出した──。
「良かった、探したんですよ!」
「天音さん、良かったです」
「焦ったよ、天音ちゃん」
「すみません」
怒られたものの、皆が私を心配していてくれた事が、ひしひしと伝わってきた。
「あ!そうだ!すみませんこの男の子がママとはぐれたらしくて……」
男の子の事を思い出し、皆に事情を説明しようと男の子の方を見る。
「あれ?居ない……」
「どしたんですか?天音さん」
「私と一緒に居た男の子が居なくて……」
「男の子?天音ちゃん私達が見つけた時には1人だったわよ?」
凛子さんの言葉に驚きを隠せず、辺りを見渡す。
「え?!そんな、はずわ……」
何処を見ても、確かに男の子の姿はなかった……。
私と同じように、探していたママにでも会えたのかなと……何となくそう思った。
「さあ!そろそろ帰りましょう!」
「そうですね!」
気づけば夕方になっており、私達は笑い合いながら、楽しかったショッピングモールを後にする。
「…………あれ?さっきのは………」
何処からか聞こえてきた声に、首を傾げながら帰路についた。
「……またね、お姉ちゃん」
アジトに戻った私は1日中歩き回り、部屋に戻るなりベッドへダイブする──。
おもむろに、普段使っていたスマホを取り出し、電源を切る……。
私なりの、元の世界との決別だった。
もう戻る事の出来ない世界に、今日私は別れを告げた──。
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