第23話 ショッピング
久しぶりに見た東京の光景は、私の目には新鮮に映った。
「あ!ここのお店見た事ない!こっちのお店も!」
見慣れたな街並みなのに、街の変化に一喜一憂しながらはしゃいでしまう──。
「天音さん、楽しそうですね」
「そうね、天音ちゃんずっと……気を張ってたからね」
「天音ちゃん!最近出来たショッピングモールに行きましょ!!」
「ショッピングモール!行きましょう!!」
凛子さんの言葉に目を見開き、近くに居た千歳ちゃんと絢華さんの手を引く。
「行きましょう!天音さん!」
「ちょっと!天音さん引っ張らないでください!!」
ショッピングモールに着いたあとも、私はずっとはしゃいでいた。
「うふふっ天音ちゃんったら……」
「見てください!映画館もあります!」
「ここは最新の大型商業施設ですから、映画館の他にも、水族館も併設してますよ」
絢華さんの説明に更に心が高ぶる──。
「水族館もあるんですね!
「うふふっ、ここは1日中居られるのよー♡
ここで一旦解散して、2時間後またここに合流しましょう!」
「そうですね、私も見たい所がありますので」
「じゃあ私は、千歳ちゃんと一緒に行くわ」
「私はお世話になったお店に、ちょっと顔を出すわー」
「2時間後ですね!分かりました!」
そう言って私達は一旦解散し、私は雑貨屋だったりアパレルショップで何着か服を買い、制服だった私は早速買った服に着替えた。黒のワイドパンツに白いTシャツという、シンプルなコーデを選んだ。
その後、書店で本を眺めていると……。
「この本、面白いだよー!」
後ろから聞こえた声に、私は驚き振り返る。
そこには、中学生からの親友が私の知らない友人と本を見ていた。
声をかけようと1歩前に出るが、紫苑さんの言葉を思い出し、後ろに下がる……。
「ねぇ、この後何処行くー?」
そんな事を話しながら、私の横を通り過ぎて行く親友の顔は、私の知らない顔をしていた……。
もしかしたら覚えてるかもしれないと、淡い期待で手を伸ばす。
「……?あの、どちら様ですか?」
肩を掴んだ私に親友は、怪訝そうな目を私に向ける。
「い、いえ……人違いでした、すみません」
複雑な気持ちを抑え、私は手を離す。
親友の姿に気持ちに節目がついた気がした。
悲観の気持ちではく、どちらかと言えば清々しい気持ちだった。
私は大好きだった親友に背を向ける……。
──生きる世界が違うんだ──。
もう……一緒にお弁当を食べる事も、放課後寄り道して買い食いする事も、先生に怒られてその後一緒に笑い合う事も……ない。
それでも、ずっと忘れないよ……2人で喧嘩して笑い合った日々を……さようなら、私の親友。
「天音ちゃん!一緒に周ろうー!」
桔梗さんと千歳ちゃんが私を呼んでいる声に、私は笑顔で走り出した──。
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