第18話 未知の敵

しばらくすると、出掛けていた兄さんが戻って来た。

玄関から話し声が聞こえ、私は凛子さんと一鉄さんに声をかける。

「そろそろ、父を残し家族は出掛けます」

「いよいよか」

「このまま何も無ければ、天音ちゃんのパパさん助けられるのね!」

私達の間に緊張がはしる──。

この先は、私にも分からない……。

「それじゃ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」

家族が、車に乗り出かけていくのを見届ける。

家の中に戻った、パパは言っていた通り仕事を始めた。

「中に入りましょうか」

そう提案し、1歩踏み出した瞬間……。

ドンっ!!!と、地鳴りのような地震のような凄まじい音が響く──。

「なんだ?!」

「なっ!アレは……天使?」

音がした方へ行くと、そのには……今までの天使とは比にならない大きさをした天使が現れた。

大型天使は、道を阻むように立ち塞がる……。

「これを倒さないと、先には行けないのね……」

「譲ちゃんの為にも、全力で行くぜ!!」

「今すぐ、退いて」

私達は、戦闘体制に入る──。

未知の敵に、様子を伺うが……。

大型天使は拳を振り上げ、私達目掛けて振り下ろす──。

振り下ろされた拳は地面にめり込み、砂埃が舞い上がる。

「視界が……!」

「一旦、散開しましょう!」

凛子さんの提案に、賛同し散開を始めるが……。

「一鉄さん!!!」

「っ……!!!」

砂埃に紛れた、天使の拳が一鉄さんに直撃し、壁に吹き飛ばされた……。

「一鉄!!!」

凛子さんはすぐに、一鉄さんの治癒を始める。

「炎付与」

空高く飛び、私は天使に向けて刀を振り下ろ

す──。

「なっ…!!!」

手応えは確かにあったが、天使には傷一つ付いていない……。

「これなら!消滅付与!!!」

再び、天使に刀を振り下ろす──。

消滅付与をした事で、天使の片腕を落とす事に成功したが……。

「な、なんで………」

天使の片腕は、すぐに再生された……。

「天音ちゃん!!!」

「……!!」

油断した隙に、天使の手の中に捕らえられてしまう……。

私を握り潰そうとする天使から逃げようとするが、力が強過ぎて抜け出せず……骨が悲鳴を上げる……。

「あぁ!!がぁ……」

ボキボキっと、嫌な音が鳴る──。

「天音ちゃんを離せ!ゴラァ!!!」

凛子さんの槍が天使の腕を貫き、力が弱まった隙を逃さず脱出する。

「……ありがとうございます」

「大丈夫?!」

「私は、大丈夫です……私よりも一鉄さんを……」

今だ、意識が戻らない一鉄さんを凛子さんに任せ、私は大型天使の前に立ち塞がる──。

「天音ちゃん!!」

「私が、こいつを引きつけます……その間に凛子さんは一鉄さんの治癒に専念してください」

私は、もう誰も失わせない……。

勝てるか分からない……、一鉄さんでも敵わない未知の敵に、足がすくむ。

それでも、守ってみせる!!──。

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