第17話 家族との再会

「……ここは?……」

「天音ちゃん!目が覚めた?!」

「譲ちゃん!大丈夫か?」

目を覚ました私は、辺りを見渡す。

「天音ちゃんの治癒の為にちょっと、借りたの」

凛子さんの言葉にはっと、する──。

「天使は?!」

「大丈夫だ、奴等は俺達以外は襲ってこないから、何かあった時は建物の中に逃げ込むといいぞ」

「そうですか……」

一鉄さんの言葉に安堵するも、焦りと不安が募る……。

『天音、大丈夫だ……父親はまだ生きてる』

「本当ですか?!」

『あぁ、父親の死までにはまだ時間がある……だからあんまり焦るな』

紫苑さんは私の焦りと感じたのか、優しく諭してくれた。

紫苑さんの優し声に、また心臓が締め付けられる感覚がした……。

「天音ちゃん、肩どうかしら?違和感はある?」

刺された、右肩を回してみるが、痛みも違和感も感じない。

「大丈夫です、ありがとうございます」

「よし!譲ちゃんも起きたし……譲ちゃんの親父さんの所に向かうか」

「そうね、時間があるって言っても、早い事に越したことはないわね」

「はい」

私達は、天使の襲撃に備え武器を構えながら、私の家を目指す──。

何度か、天使の襲撃があったものの、最初の場所まで戻ってきた。

「この道を真っ直ぐに行くと私の家です」

思い出深い、道──。

さっきの戦いが嘘のように、傷一つ付いていない。

「私達の戦いも、存在も認識される事はないわ……」

「……大丈夫です、私が戦ってるなんて知れば家族が卒倒しちゃいます」

うっすらと笑みを浮かべ、場を和ませる。

「っ!!に、兄さん……」

目の前から、スマホをいじりながら兄さんが歩いて来る。

兄さんは本当に私が見えていないのか、通り過ぎてしまう。

「兄さん!!」

思わず手を伸ばし、兄さんの顔に指先が触れるが……。

「ん?……風か?」

一瞬、足を止めたものの……何事もなかったかのように歩き出してしまった……。

本当に私が見えないのだと、思い知らされ涙がこみ上げる。

「……譲ちゃん……」

「天音ちゃん……」

話す事も、触れる事も出来ない……その辛さが家族の死と、一緒によみがえる──。

零れそうになる涙を拭い、前を見据える。

「大丈夫です、行きましょう」

凛子さん達の心配をよそに、足を進める。

認識されないのは辛い……でも久しぶりに見た兄さんの笑顔を守ってみせると……誓い、自宅へ急ぐ……。

「ここです」

無事に自宅に辿り着き、窓から中の様子を伺う。

中には、両親と遊ぶ優里の姿があった……。

久しぶりに見た、生きてる家族の姿にまた出そうになる涙を堪える。

「この後、パ……父を残し家族でプールに出掛けます……その後に父が倒れました」

「じゃあ、しばらくは待ちだな」

「ちょっと、休憩しましょう」

凛子さんと一鉄さんは座り込み、一息つく。

私は、楽しそうに笑う……私が居ない家族から目が離せなかった……。

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