第15話 いざ、改変へ

数カ月の特訓の末、今日私は過去の改変へ向かう──。

桔梗さんと特訓した時に、あった自分が自分じゃないような感覚は特訓していく中でだんだんと薄れていった。

私の異能『付与』は、様々なものを自分や他者に付与出来る事も分かった。

「今日、いよいよ天音の過去改変に向かう、一鉄、凛子さんは天音に同行してサポートしてくれ」

「はいよ!」

「はーい♡」

会議室に集められた私達は、紫苑さんから細かい指示を受ける。

「天音、今日は天音の父親の死を改変する……過去の世界に入れば容赦なく神の眷属、俺達は、『天使』って呼んでる気持ち悪い奴等が襲ってくるが、一鉄、凛子さんを頼りすぎなるよ」

「はい」

「一応、こっちからも状況は見てるが、何かあれば俺に、烏を飛ばせ」

「烏って何ですか?」

「私達は運命共同体だから、改変先で何かあっても念じるだけで、紫苑ちゃんと連絡が取れるのよ!」

「帰還の時は、こっちで位置を指定するからな」

「分かりました」

行くにも色々気おつけなければならない事があり、指示を聞き逃さないように頭の中にメモをする。

「よし、準備が出来たら時の間に行けー」

「ほら!天音ちゃん、行きましょう♡」

凛子さんに手を引っ張られ、一鉄さんから背中を押される──。

洋風の会議室には、似つかわしくない和風な扉を開けると、中はもっと和風で……神社やお寺に来たような不思議な感覚に陥る……。

「会議室とは打って変わって、和風だろ?俺は全部和風しようと言ったんだが、他の奴等が洋風がいいって聞かなくて……時の間以外は許可したんだ……」

項垂れる紫苑さんを見て、苦労したんだなと……紫苑さんにちょっとだけ同情した。

「あはは、大変だったんですね……」

「そうなんだ!大変だったんだ……!天音なら分かってくれるか?!」

肩を力強く掴まれ、凄い気迫で迫ってくる紫苑さんに、私は激しく首縦にを振る。

「はい!分かります!!」

「紫苑、あんま譲ちゃんをいじめんなよー!」

「い、いじめてないし!」

一鉄さんからかわれ、紫苑さんは急いで私から手を離す、手が離れた事が少しだけ残念に思った……。

「ほら!さっさと行ってこい!!」

背中を押され、私達は部屋の真ん中に立つ。

「天音ちゃん、いいわね」

凛子さんの言葉に、力強く頷く。

事前に教えてもらった文言を思い出し、深く息を吸う──。

「八咫烏、導きの神よ!私達を未来が確定する前の過去へ……導き給え!!」

眩い光に包まれ、咄嗟に目を閉じる……。

目を開けると、私の見知った景色が広がっていた──。

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