第13話 儀式と異能
部屋に戻り、今までの事を整理する。
ほぼ、1日で色んな事が起きすぎて頭がパンクしそう……。
煌くんに異能とならを使われそうになって、八咫烏に入って、状況?戦況?を説明されたが正直1割も理解出来ない……。
4ヶ月前まで、私は何処にでも居る高校生だったのに、まるで御伽話の中に迷い込んだようだった──。
「……明日、人間じゃなくなるんだよね……」
ベッドに寝転び、自分の手のひらを見つめる……。
「天音ちゃーん♡入っていいかしらー?」
扉の向こうから凛子さんの声が聞こえ、急いで扉を開ける。
「凛子さん、どうしたんですか?」
「突然、ごめんねー!私達天音ちゃんとお話したくて来ちゃった♡……ほら絢華ちゃんも!」
凛子さんの後ろに、絢華さんの姿があった。
「私は別に!凛子さんに無理矢理連れて来られただけです!!」
「もう!そんな事言って、本当は天音ちゃんと仲良くしたいくせに!」
「あの、外ではあれなので……中にどうぞ」
「そうね!お邪魔しまーす!」
私は2人を招き入れ、部屋にあった紅茶を入れ
2人の向かいに腰を下ろす。
「どうぞ……」
「ありがとう!天音ちゃん」
「……ありがとうございます……」
凛子さんと、絢華さんはソファーに座り紅茶を飲む。
紅茶を飲むも緊張で味があまりしない…。
「……質問なんですがおふたりは……どんな異能を持ってるんですか?」
「異能ってピンと、来ないわよねー私も最初そうだったわ!私の異能は『治癒』よ、何でも治しちゃうわよー♡」
「ふんっ!教える義理なんてありません!!」
凛子さんは、快く教えてくれたが……どうやら私は絢華さんに、嫌われてるようで顔を背けられてしまった。
「絢華さん、私は家族を失いました……」
「それが、どうしたんです?私の同情を誘うつもりですか?」
「いえ、違います……私は皆さんと比べれば弱いです……けれど、家族を取り戻したいって気持ちは負けません!!」
真っ直ぐに絢華さんを見つめる──。
絢華さんだって大切なものを失ってる……それを張り合うつもりはないけど、私の覚悟を知ってほしかった。
絢華さんは驚いた顔をしたと思ったら、小さく笑い始めた。
「そんなに大きな声で言わなくても伝わります、でも……くすっ、貴女の覚悟は分かりました……私の異能は『重力操作』です、改めてよろしくお願いします天音さん」
絢華さんが、私に手を差し出す。
その手を力強く握り、握手を交わす──。
「私とも、握手してー!」
凛子さんとも握手をして、少しだけ、絢華さんと仲良くなれた気がした……。
──翌日、今日いよいよ私は、正式な八咫烏のメンバーになる。
会議室に向かい、まだ誰も居ない会議室でそわそわしながら待っていると……。
「早いな、よく眠れたか?」
「おはようございます、紫苑さん」
欠伸をしながら、紫苑さんが入ってきた。
「よし、始めるか」
身体を伸ばしながら、紫苑さんは部屋の中心に立つ。
「俺の前に立ってくれ」
「はい」
私は、紫苑さんに言われた場所に立つ……。
紫苑さんが、目を閉じ意識を集中する。
「!!」
私達を白い光が包み込む──。
「八咫烏……導きの神よ、迷い人天音に導きを与え給え」
紫苑さんの言葉にあわせて、何処からか白くて大きいな烏が飛んで来て、私の身体の中に入っていった……。
その瞬間心臓が脈打つドクン、ドクンと、耳に自分の鼓動が響く……息が思うように出来ず苦しい……身体中の水分が沸騰するように暑いと思ったら、凍りそうなほど寒くガタガタっと震えが止まらずその場にうずくまる……。
「ぐっ……がぁぁ!………っ!!」
早くなる鼓動、身体中が暑いのか寒いのか、それすらも分からない……。遠のく意識を気力だけで保つ──。
「……っ!はぁはぁはぁ……はぁ……はぁ」
「よく、頑張ったな」
優しい声と手つきで紫苑さんは私の頭を撫でてくれた。
何時間経ったか分からない……。
突然、呼吸がしやすくなり息を肺いっぱいに吸い込む。
少しずつ身体が軽くなっていくのを感じ、さっきのがまるで嘘のように体調も良い。
「これで、正式に天音は八咫烏になった」
その言葉に、私は嬉しさが込み上げる。
「私、ちゃんと八咫烏になれたんですか?」
「あぁ、後は異能だが……何か感じるか?」
胸に手を当て、意識を集中させる……。
遠くに映像?のようなのが見え、そこには私が刀を振るい、その刀に色んなものを纏わせているように見える。
「……私が刀に色んなものを纏わせているの見えました」
紫苑さんに、見た事をそのまま伝える。
「色んなもの?」
「炎とか、雷とか…色々です……」
「……天音の異能は『付与』かもしれないな……」
そのまま、紫苑さんは何やら考え込んでしまった……。
「……今日はとりあえず休め、体力も消耗してると思うしな、明日から異能の特訓するから訓練場に集合な」
「分かりました」
一礼して、部屋を出る。
扉を閉める瞬間、考え込んでいた紫苑さが少し、笑っいたその笑顔は妖艶のように、私にはすごく綺麗に見えた──。
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