小説を書くことで成長するのは、キャラか自分か(俺か俺以外かみたい)
私の今年の目標は「12月中に新作小説をkindle出版する」ことでした。
しかし……、いろいろな葛藤を経て、ある決断をしました。
それは、
自分で決めた締め切りを1ヶ月延ばすこと、
kindle出版の前にWeb小説サイトに投稿すること
です。
「泳げないマーメイドは泳げるようになりたい」という小説を書いているのですが、書き始めたのはなんと今年の1月です。
なのに、今年中に書き上げることができませんでした。
一年以内に書き終えることができない自分を情けなく思っていました。
ですが、新たな決断をした今では、キャラクターたちと向き合えているような気がしています。
というのも、この小説を書いている一年間で、様々なことがありました。
年はじめから私がコロナに感染したり、旦那さんがメンタルを崩したり、生活が困窮したり、息子の体調不良が半月も続いたり……他にもいろいろありました。
実は言うと、まだ大きな問題が解決したわけではありません。
とにかくこの一年を漢字で表すと「変」だと夫婦で一致するくらい「変動・変革」の一年でした。
今は前を向けている状況ですが、少し前、まだ闇の中を生きているような気分だったころ、私はだんだん執筆することができなくなりました。
執筆どころじゃない。仕事探さなきゃ。
小説書いていても収入があるわけじゃない。
――そもそも、「小説家になりたい、本を出版したい」なんて夢みたいなこと言っている場合じゃない。
ぴたりと、筆が止まる。
なにも小説のアイディアが浮かんでこない。
小説、仕事、どっちつかずの状況。
旦那さんの心配。
将来の不安。
私の中には小説が進まない、イライラやもやもやがたくさん溜まっていきました。
そんな中、ある経営者の方の言葉に救われました。
「世界は甘いから大丈夫。『小説家になることが夢みたいなこと?』あなたがそう思っているのなら、その通りになっちゃうわ」
「自分はヘタレなんだって認めて生きていけばいいの」
その言葉で、一気に闇から抜け出ることができました。
再び小説に向き合いはじめたとき、キャラクターが成長するのと同時に自分も成長しているのが分かりました。
それは、あるシーンを書き直したときのことでした。
泳げない人魚・ルナと、泳ぎの美しい人間の男の子・波瑠。
ルナはどうしても波瑠に泳ぎを教えてほしいと懇願するけれど、頑張ることを避けて生きている波瑠には、努力しようとするルナが煙たく映る。
最初、私はここを
「努力したって無駄なだけだろ」
「もういい、波瑠には頼まない」
とお互いの感情がぶつかり合うシーンにしていました。
最初、私にとってのルナは「頑張ることの大切さを教えてくれるキャラクター」という位置づけだったため、頑張ることを否定する波瑠を受け入れられなかったのです。
ですが、私の中で「頑張ったから努力が報われる」のはぼんやり違うと思っていました。
だって、私自身の現実が辛いものだったから。
頑張っても頑張っても、次から次へと起こる問題に押しつぶされそうでした。
だから、小説を書いていて「頑張ったから努力が報われる」ことを伝えたいわけじゃないという思いが湧いてきました。
じゃあ、私はなにが伝えたいのか。
そう思いながら、書いたのが以下の文章です。
🧜♀️🧜♀️🧜♀️
「お前はどうしてそんなに必死に頑張る?努力が無駄かどうかは私が決めるなんて言ってたけど、頑張るなんて疲れるだけだろ」
はぁ、と波瑠はため息交じりに言った。その冷たい瞳の奥に、一瞬だけ哀しみが滲んだ気がした。彼は、頑張ることを馬鹿にしているわけではない。むしろ、頑張ることそのものを否定しているのだ。
きっと、こうした言葉は、頑張った経験がある人にしか言えないのではないだろうか。
どうして気づかなかったんだろう。私には私の世界があるように、波瑠には波瑠の世界があるのだ。波瑠は、あえて頑張らないことで、自分自身を守っているのかもしれない――事情は分からないけれど。
「波瑠、ごめん」
「は?」と言いたげに、ぱっと波瑠がこちらを向いた。
「なんで謝るんだよ」
「私には私の世界があるように、波瑠には波瑠の世界があるのよね」
頑張らない選択をすることだって、波瑠にとってはきっと大切な意味があるのだろう。
「波瑠、さっき言ったでしょ。がむしゃらに生きることが正しいとは思わないって。私は、頑張ることにも、正しさとかはないと思うの」
そう言ったとき、気のせいかもしれないけれど、波瑠の瞳から哀しみが少しだけ消えたように見えた。
「だけど、もし、波瑠が『頑張ること』そのものを、辛いことだと思っているのなら、それは違うと思う。私にとっては、頑張らない方が辛かったから。頑張ることは私にとって、希望なの。自分で、選んだことだから」
🧜♀️🧜♀️🧜♀️
「頑張っている間は、望んだ未来がそこにあると信じる」
私が伝えたいというより、キャラクター(ルナ)がそう教えてくれたような気がしています。
他にも、
「人間の世界へ行く試験を何度受けても不合格になってしまうルナ」が「どれだけ小説を書こうとしても、なかなかうまくいかない自分」と重なり、書き進めていくうちに、ルナにも自分自身にもある答えが出ることがありました。
さらに「俺より凄いやつなんていっぱいいるしと漫画家になることを諦めてしまった夏希」は「他人と比べてばかりの自分」と重なり、自分自身が現実でいろんな問題を乗り越えているうちに夏希に対するエピソードの変化があったりしました。
最初、目標にしていた12月以内に書き終えることも、kindle出版も、達成することができませんでしたが、現実を乗り越える・小説を書く、ということを同時進行でしたおかげで、小説が深みのある小説になったような気がしています。
完璧主義な自分にとって、自分で立てた目標を達成できないことは、ものすごく悔しかったですが、新たな目標に向かって頑張っていこうと思います。
よければ応援よろしくお願いいたします!!
主婦作家のつれづれ日記 ゆうり @sawakowasako
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