主人公・アウシュリスの悲しい境遇。
そこに加え、人質として送られることに。彼が心を閉ざしてしまう気持ちもわかります。
けれど、彼はバダルという青年に会い、少しずつ、少しずつ変わっていきます。
あたたかく、優しいバダル。
アウシュリスを奴隷として扱うことは一切なく、一人の人間として接してくれます。それこそ、海のように広い心で。
そんな彼にも実は秘密があり、これがまたたまらなく素敵。そうだったのかと胸が締め付けられました。
そして、少しずつ想いを通じ合わせていく二人。
気が付けば、アウシュリスもすっかりガラサの男で、バダルの……。
政治が絡む中、二人が心を通じ合わせていく素敵な物語です。
皆様もぜひ、読んでみてください。
イステア王国の王弟であるアウシュリスは、イステアの軍神と呼ばれて国を担う若き軍人だったのですが、王国の海の民ガラサが反乱を起こします。見る間に進軍され、和睦のあかしとして賠償金と。
それから人質としてアウシュリスが差し出されることになります。
もうね。ここでね、確信しました。
アウシュリス、幸せになる、と。
なにしろ王族たちがあまりにもアウシュリスを蔑ろにするのです。もう彼の存在価値がまるでわかっていない。苦労人であり、かわいそうな境遇なんです、このアウシュリス! 有能なのに!
で。
ほら、こんなとき隣国や敵国に行くひとの結末は決まっているじゃないですか。
幸せになるんです。
幸せになるしかないんです!!!!!
レビューは本文から抜粋させていただきました。
こちらは、アウシュリスを幸せにするバダルの心の言葉です。
物語の中盤に出てきますが、ものすごく心に残ったので「レビューはこれしかない!」とその時から思っていました。
私、ブロマンスは読むんですけど、BLっていままでちゃんと読んだことがないというか……。
なんとなく苦手意識があったんです。おつきあいのある書き手さんが書いておられてもタグにBLってついていたら、「……う。そう……か」と読むのを遠慮したり。
そのひとつが露骨な性描写だったりするんですが……。
こちらは、作者様があらすじでお書きになっているとおり、そういった部分は公開を控えてありますので、私のようなBL初心者でも非常にとっつきやすいです。(え?それはそれで気になる?)
それに、個人的にはこのアウシュリスもバダルも見た目が「がっつり男」というのがとてもいい。
二人とも軍人なのがさらにいい!!!!!(※個人の感想です)
この作者様ならではの内政も絡む骨太の構成も好みです。
現在、せっかく第1回ルビーファンタジーBLコンテストが開催されていることですし。
私みたいに苦手意識を持っている方も、ぜひぜひ最初の一歩を踏み出してみてください。
この作品、おすすめです。