男子高校生の暴走
古都礼奈
男子高校生の暴走
佐藤恵子の部屋で、高校生の田中太一は緊張しながら座っていました。
いつもは近所のおばさんとして親しくしていた恵子と、こんなに長い時間二人きりで過ごすのは初めてです。
「太一君、今日はどうしたの?」恵子は笑顔で問いかけました。
「ええと、特に理由はないんですけど、最近ちょっと疲れてて…お話しできれば元気が出るかなと思って」と太一は言い訳をしながら答えました。
「それは嬉しいわね。ちょうどお茶でも入れようかと思ってたところだから、一緒にどう?」と恵子は微笑みました。
恵子が部屋を出てお茶を用意している間、太一は部屋を見回しました。
ふと目に入ったのは、机の上に置かれた奇妙な紙片でした。
「これ、なんだろう…?」と呟きながら、太一はその紙片を手に取りました。
そこには不思議な文字が書かれていました。
恵子が戻ってきて、「それはおまじないの紙よ。友達から教えてもらったの」と説明しました。
「おまじない?」太一は興味津々に聞きました。「どんなおまじないですか?」
恵子は少し恥ずかしそうにしながら、「紙に自分の願いを書いて、それを鏡の前で唱えるの。
でも、まさか本当に効果があるなんて思わなかったわ」と答えました。
「ちょっと試してみてもいいですか?」と太一は興味を持ちました。
「もちろん、いいわよ。でも何をお願いするの?」と恵子は尋ねました。
太一は少し考えてから、「お互いの立場を体験してみたいなって思って。おばさんの生活も興味あるし」と笑いました。
恵子はその言葉に驚きながらも、「それも面白いかもしれないわね」と同意しました。
二人は紙に願いを書き、それを鏡の前で唱えました。
すると、突然眩い光が部屋を満たし、二人の体が瞬く間に入れ替わりました。
「これは一体どうなってるんだ…?」と太一(恵子の体)は驚きましたが、この奇妙な状況を少し楽しもうと思い、クローゼットを開けました。
中には、セーラー服が掛かっていました。
太一はニヤリと笑い、「これを着て出かけたら面白いかも」と考えました。
「ちょっと待って!それはやめて!」と恵子(太一の体)は太一を止めました。「こんな恥ずかしいこと、絶対に無理よ!」
しかし、太一は笑って、「いや、これは一度きりのチャンスだ。こんな機会、滅多にないからね!」と言ってセーラー服に着替え始めました。
鏡の前でセーラー服を着た自分の姿を見た太一(恵子の体)は、思わず心臓がドキドキし始めました。
しかし、そこに映っていたのは、可愛らしい女子高生ではなく、セーラー服を着た中年女性でした。
太一は一瞬、顔を赤らめましたが、その異様さにさらに興奮しました。
「これ、俺なのか…?」と、太一は自分の姿に見とれながら呟きました。
鏡に映るセーラー服姿の恵子(中身は太一)は、どこから見ても不自然で滑稽でしたが、そのギャップに興奮を覚えたのです。
「これは本当に面白いぞ!」と太一は叫びました。
恵子(太一の体)は必死に止めようとしましたが、太一は「大丈夫、大丈夫。すぐ戻ってくるから」と言い残し、家を飛び出してしまいました。
近所の人々は、セーラー服姿の恵子(中身は太一)を見て、驚きと興味の視線を向けました。太一はその視線を楽しみながら、街を歩き続けました。
「これは本当に面白いぞ!」と太一は心の中で叫びましたが、通行人の冷ややかな視線に気付き始めました。
すると、街角で恵子の友人である山田さんに出会いました。
「あら、恵子さん、今日はどうしたの?セーラー服なんて?」と言われ、太一は一瞬動揺しましたが、「たまにはこういうのもいいでしょ?」と笑ってごまかしました。
家に帰ると、玄関で待ち構えていた恵子(太一の体)が「もう、何やってるのよ!すごく恥ずかしかったんだから!」と叱りました。
太一(恵子の体)は反省しながら、「ごめんなさい。でも、ちょっとだけ楽しかったよ」と正直に言いました。
その日の夜、二人は再び元の体に戻ろうと試みましたが、恵子(太一の体)はその身体を手放したくなくなりました。
彼女は「もう、このままでいいんじゃない?」と言い出しました。
「佐藤さん、何を言ってるんですか?元に戻るべきでしょう!」と太一は驚きました。
しかし、恵子は微笑みながら「あんな恥ずかしい思いもさせられたし、SNSにも私のことがアップされてるんだけど。」と言いました。
太一は困惑しながらも、「でも、僕の体だし、僕は戻りたい」と主張しました。
「太一君。あなたも責任取って、その新しい体で新しい人生を楽しんでみては?」と恵子は微笑んで言いました。
太一はその言葉に唖然とし、結局、二人は元に戻ることなく、それぞれの新しい体で生活を続けることになりました。
男子高校生の暴走 古都礼奈 @Kotokoto21
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