第13話
じいちゃんの家は、古い
夜、飼育ケースを
「ヒカリ、見える? あれは星だよ」
飼育ケースの中に声をかければ、ヒカリは
ヒカリが、
まさか、羽根が生えたりする? そんな想像をしたら、ヒカリの背に
こんなにカッコいいヒカリを、みんなは見られない。もったいない気もするけど、自分だけの特別な生き物であることが、うれしくもあった。
「明日もう一日ここにいて、
明日はみんなで海水浴だ。さすがにヒカリを連れて行くわけには行かないから、この部屋で留守番してもらう。
ヒカリは分かったと言うように、ピシッと
生きて動いているものって、身の回りにこんなにいるんだなぁ。
そんなことを考えている内に、勇真は
○ ○ ○
翌日、勇真はいつも通りにヒカリの世話をして、広間の荷物と共に、飼育ケースを置いた。
朝ごはんの後は、
父さんと、
せっかく海に来たのに! そう思いながら、
「勇真は、色んなものをよく食べるようになったなぁ」
砂浜でバーベキューを楽しんでいた勇真は、じいちゃんにそう言われて、皿を持ったまま目を
「そうかな」
「そうさ、正月に来た時には、だーいぶあれこれ残しとったぞ?」
あらためて好き嫌いの多さを
皿に乗っているものが、元々は生き物であったと意識したから。“
「生き物の
「ほう、それはえらいことを勉強したなぁ」
じいちゃんは、うれしそうに
「このピーマンはな、じいちゃんが作ったんだ。食べてみてくれるか?」
「じいちゃんが作ったの?」
ピーマンは苦手な野菜のひとつだ。だって、苦いんだもの。
「そうさ、
じいちゃんは笑って、
野菜も、
《人間とは
カミサマがホッホッと笑った。
確かに、学校でアサガオを育てた時も、ホウセンカを育てた時も、登校したら毎日水をやった。ヒカリの世話を毎日するのと同じように、毎日様子を見ないと枯れてしまうから。
そうか。姿形は
勇真は皿を差し出して、ピーマンを皿に置いてもらった。焼肉のタレをたっぷりつけて、エイヤ、と口に放り込む。
やっぱり、少し苦い。でも、食べられた。
ちょっぴり変な顔になったけど、じいちゃんと目が合ったので「食べられたよ」と言った。おいしいよ、とは言えなかったけど、じいちゃんはうれしそうに笑っていた。
「勇真は、最近すごくいろんなことをがんばってるなぁ。ヒカリを飼い始めてからかな」
父さんが言って、勇真の顔をのぞき込んだ。
「どんどんお兄さんになるんだなぁ」
「そうだよ、もう十歳だもん」
軽く頭をなでられて、勇真は照れくさいような気持ちで答えた。水着の上に
ねえ、カミサマ。
知らないだけで、世界には
《そうじゃな。人間だけじゃなく、動物や魚、虫に植物。生きているものはみんな
勇真は、辺りをゆっくりと見回した。青い海と、
この景色の中に、まだまだ知らない
勇真は大きくゆっくりと、
○ ○ ○
昼ごはんのバーベキューをたくさん食べてから、勇真たちはもうひと泳ぎしていた。太陽は今日も元気いっぱいに世界を照らしていて、暑くて、海遊びはとても楽しかった。
今年の水泳授業で、ずいぶん泳ぎが上達した勇真は、うき輪をビート
《勇真! 大変じゃ!
「
《ヒカリが
「ええっ!?」
ヒカリが
勇真はうき輪を投げ捨てて浜に上がり、そのままサンダルに足を
「勇真!?」という
じいちゃんの家は海から近いので、走ればすぐに
《
その声の通り、勇真は玄関の横を通り過ぎて、庭に入って
「ヒカリ!」
タタミの上にまき散らされた砂とエサのそばで、まだら
「コラーッ!」
勇真の大声で、ノラ猫は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます