第4話
「あれ、もう開けちゃったのか?
「うん、ごめん。気になっちゃって」
夕方、仕事から帰ってきた父さんが風呂から出るのを待って、
でも、カミサマが付いて来たことは
お
「買ってもらった物は、届いたらちゃんと報告してから開けなさいって言ってあったでしょうに」
「ごめんってば」
人からもらったもの、買ってもらったものは、ちゃんと親に報告してから自分のものにすること。何度も言い聞かせられていることだから、それを
勇真はそそくさと台所から
しかし、続けてテーブルに並べられたおかずを見て、勇真はこっそりと口をゆがませた。今日の主菜は
勇真は、もちろん味に好き嫌いあるが、味よりも食感や食べにくさで嫌いなものが多い。魚は骨があって食べにくいし、かたまりの肉はモソモソしたり、歯のすき間に
どうせ同じ
○ ○ ○
「ふ〜ん、本当に
夕ごはんの後、改めて勇真が“
「うん、でも色は
「そうだなぁ。白とか赤茶色のタマゴは見たことがあるけど、こんな色の
話を
「ないわねぇ。っていうか、
確かに、説明書には何かしらヒントが書かれてあるのかもしれない。父さんは勇真が開けもしなかったB4サイズの説明書を取り出して、テーブルの上に広げる。勇真は横からそれをのぞき込んだ。説明書には、裏にもぎっしり小さな文字が並んでいて、勇真はそれだけで読む気がしなくなった。
説明書もマンガにしてくれたらいいのに。
「う〜ん、何が生まれるのかは書いてないけど、
「
「ヘビとかトカゲ、あとカメなんかが
勇真は父さんの説明を聞きながら、
カメかぁ……。別に強くなさそうだな。ヘビならちょっと迫力あるかも。トカゲとかも、大きいなら強そうかな?
勇真はそんな想像をしたが、食器を洗い終えた母さんが、手を
「ヘビやトカゲは嫌よ、なんだか気持ち悪いじゃない」
「え、そうかな? カッコいいと思うけど」
「ヘビやトカゲがカッコいいの? お母さんにはわからないわぁ。カメならかわいいと思うけど……」
「だってカメは
《そうそう、勇真は強くてカッコいい、
「わぁっ!」
突然カミサマの声が聞こえて、勇真はタマゴを
「勇真!? びっくりしたわ、どうしたの?」
「あ、えーと、目の前を
「なによ〜、
どこにいるの、と母さんがキョロキョロするので、勇真は
急に話し掛けたらびっくりするだろ! バレたらどうするんだよ!
カミサマには勇真の言いたいことが伝わったらしく、ふふん、と軽く笑う声がした。
《おぬしにしか聞こえないのじゃから、平気な顔をしていれば良いじゃろう?》
そういう問題じゃないってば!……って、どうしてぼくの考えていることがわかるのさ?
《おぬしが手に持っているからじゃな。ワシは“
記念で会話って、何の記念?
《記念じゃなくて
「なるほど〜、便利」
「何が便利だって?」
思わず口に出してしまって、横から父さんにのぞき込まれた。
まずい、まずい! せっかく父さん達には聞こえてないのに、自分からバラしてどうするんだよ。
「なんでもないよ!」
「そうか? それより勇真、最初にタマゴにさわった時、どんな風に育って欲しいか
「え? なんで?」
勇真はドキッとした。カミサマに聞かれたことのまんまだ。どうしてそんなことを父さんが聞くのだろうか。
「説明書に書いてあるんだ。『どんな風に育って欲しいか、タマゴを持って
「書いてあるの?」
てっきりカミサマの気まぐれか思いつきだと思ったのに、説明書に書いてあるとは思わなかった。勇真はタマゴをまじまじと見つめて、首をひねった。
「そんなことして、意味ないと思うけどなぁ」
しかし、勇真の考えとは
「父さんは、意味があると思うな」
「どうして? タマゴの中に何がいるかも分からないのに?」
「だって父さんは、勇真が母さんのお
勇真はポカンとした。
このタマゴと同じで、生まれる前に?
ぼくがどんな赤ちゃんとして生まれるか、分からないのに?
「聞こえてるの? 返事なんかしないでしょ?」
「いや、時々ポコンって、母さんのお
目をまん丸にして
「……ぼく、そんなの少しも
「そりゃあそうだな。でも、勇真はちゃんと父さんと母さんの願い通りに元気に生まれて来てくれたぞ」
父さんは大きな手で、勇真の頭をぐしゃぐしゃと
「まだ生まれてなくても、
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