光
「これは……‼︎」
芦高山の中腹、廃坑の中は異様な有様だった。沢山の人間が、
『奴が卵を産み付けているんだ。気の毒だが……もう助からん。奴を倒したら、焼き払おう』
「くっ……
クルナが持つ
『危ない‼︎』
クルナが戈門を突き飛ばした。すれすれで、戈門は怪物の酸の唾液を浴びずに済んだ。だが、
『上だ!……くうっ!』
クルナの左腕からは、しゅっと白い煙が上がり彼女は苦痛に顔を歪めた。天井に張り付いていた怪物が、二人の目の前に飛び降りて来た。
「クルナ!」
『大丈夫、軽傷だ。戈門、奴の動きを止めてくれ!』
「心得た!」
戈門はクルナより譲り受けた光の剣の
『刃に触れるなよ戈門。それは束ねて締めた
必殺の拳銃を構えながらクルナが警告する。
戈門は駆け出した。怪物が吠えた。連続して飛来する酸の塊。だが来ると分かってむざむざそれを浴びる戈門ではなかった。鎌の尾は、光刃剣の
「しえええええぃッ!」
気合い一閃、巨大な
「今だ‼︎」
た、たーんっ!
坑道に二発の銃声が
戈門は見た。
一発は怪物の巨大な頭部の
「やった! うっ!?」
勝ったと思った一瞬の隙に、戈門を掴む腕があった。怪物は苦痛にうめきながら戈門の首、右手と左手を三本の腕で掴んだ。
「くぁ……」
息ができない。ぼきりと右腕から音がして、光の剣が地面に落ちた。不思議と痛くはなかった。
『カモン!』
「見事だクルナ。これでこいつは死ぬのであろう。おぬしは
『しかし……‼︎』
「芦高の村人は残念だったが、こんな化け物が世に放たれなくて良かった。礼を言う。ありが……とう……」
クルナは一度目を閉じ、そして大きく開けた。
『ダグ、ゴアヘデ砲だ』
『無理だクルナ。ゴアヘデ砲の使用申請はしていない。無許可の使用は服務規定にも連続体条約にも
『うるさい! 規則がなんだ! 責任は全て私が取る!』
『……分かった。安全シークエンスは省略する。クルナ、カモン──幸運を』
次の瞬間、世界が真っ白になった。
それは、辺りを見たし、目を瞑っても暗闇を許さない圧倒的な光だった。
戈門は、自分が死んだのだと思った。
だがそれは、間違っていた。
*** 了 ***
光刃剣 邪獣斬り 木船田ヒロマル @hiromaru712
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