にせもの

*


もう

おまえに

たずねるのはやめだ

金属の雨

きらめき降りしきる

空にむかって

さしちがえて死ぬことは

できなかったのだから



*



未来とか

革命とか

かくじつな美しい名前

雨にうたせ

はみ出した臓物に爪をたてて

そいつらから遠ざかろうと

結晶になろうとしない

汗を にぎりしめ

にぎりしめ

俺は

歩いてきたのだ



*



俺の歩行を無目的だなどと言わないでくれ

たしかに

蛙よりも放心して

ぶざまに

道をよこぎった

それが

君だけの道だったとしても

よこぎった俺に

あいさつをするいわれなぞ

あるわけがないじゃないか



*



瞬間

昼の月よりもくらく

ことばは はじけ

とびちったのは

いのちだったか

それとも

残りかすだったか

どうでもいいことだ

愛情の論理といい

憎悪の倫理といい

すでに炭素のかたまりにすぎぬ


さあ

俺であったヒューマノイドのために

ばんざいを唱えよう



*



むげんに

ひろがり

ふえてゆく

はがねの空に

といかけを放つのは

やめだ

さしちがえて

さしちがえて死ぬのは

できなかった

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