第14話 蛍の涙
☆
何をしているんだ私は。
そう考えながら私は個室から出た。
恥ずかしさのあまり個室に篭っていたのだ。
私らしく無い。
考えながら個室から出てからトイレから出る。
「よお」
「っ!?」
「驚きすぎだろ。どうしたんだよ」
「い、いや。何でもねぇよ!女子トイレ前で待つな!ビックリさせんな!相当ビビったぞ!」
私はビビりまくりながら香を見る。
香は私を見てから苦笑する。
それから私の頭をクシャッと撫でた。
何を、ヲ!?
「可愛いな。俺の彼女は」
「は?!う、うるせぇよ?!」
「...お前はお前なりに生きろよ?蛍」
「あ、あ?!」
私を抱きしめてくる香。
それから柔和になる。
そして笑みを浮かべた。
私は赤面しながらパシッその手を弾く。
このクソ野郎。
マジに格好良いんだよ。
「良い加減にしろよ。私はガキじゃねー!」
「あ?まあそうだな。一人の女の子だよな」
「そ、そういう意味でもねー?!」
何だこの野郎!
そう思いながら私は赤面する。
すると香はまた苦笑しながら私のパンチを受け止める。
そしてあろう事かその手を握りしめる香。
「お、オイ。マジに止めてくれ。確かに恋人だけど...でも」
「俺は構わない。お前が好きだしな」
「て、てめ!?」
香はマジに恥ずかしい言葉ばかりを放つ。
だけど私はその言葉すら受け付ける。
どうしちまったんだ私。
こんなんじゃ無かっただろ。
「...まあもう好きにしろよ。もう何とも言えねぇよ」
「そうか」
「ったくこのクソ野郎が」
それから私達は帰る為に歩いてから帰宅する。
私はその中でチラチラと香を見る。
クソッタレ。
何でこんなに格好良く見えるんだ?
バカじゃ無いのか。
クソッタレ。
「蛍」
「ふぁ!何だよ!」
「大丈夫そうじゃない反応だが。大丈夫か?」
「し、しらねぇ!」
私は慌てながら顔を赤面で逸らす。
それからゆっくり歩いて帰っていると。
ドサッと音がした。
見ると学校帰りっぽい唯がショッキングなモノでも見たかの様に居た。
私達を見ながらワナワナと震えている。
「お、お姉ちゃん?」
「唯。コイツは私の彼氏だ」
「お、お姉ちゃん!?マジで?!」
香をマジマジと見る唯。
オイコラ。
マジマジと見るなっつーの!
何だかイラッとする!
「は、初めましてだな。垂水の妹さん。俺は横瑞香。宜しくな」
「初めまして。私は唯でっせ」
「ふあ?でっせ?!」
「お姉ちゃんの彼氏さん。もし良かったら家に寄りませんか」
「何を言ってんだ!唯!?」
「良いじゃん。お姉ちゃん。それとも恥ずかしい?アッハッハ」
「そんな事はないけど!無しだろ!」
私は大慌てで反論する。
すると唯はぷくっと頬を膨らませてから香を引っ張った。
それから笑顔になる。
「今からお時間有りますか?良いですよね?お兄ちゃん」
「え?あ、ああ」
「良い加減にしろ!私は認めないぞ!」
「まあまあ」
それから唯は嬉しそうに引っ張って行く。
私は慌てながら唯を止めるが。
それでも唯は香を引っ張って行った。
☆
何故こんな事に。
そう思いながら私は叔母さんの家で叔母さんと唯にチヤホヤされる香を見た。
「お兄ちゃんはお姉ちゃんの何処に惚れたの?」
「あ、ああ。取り敢えずまあ蛍の性格とかかな」
「はあ?!こ、小っ恥ずかしいわ!」
そう私はツッコミを入れる。
すると唯はニヤニヤしながら私を見た。
恵子さんが手を叩く。
それから恵子さんは笑顔になる。
「本当にね!とっても良さげな子じゃない!」
「恵子さん...恥ずかしいよ」
この叔母さんの名前だが。
結婚しているから苗字が違うが名前を雨竜恵子(うりゅうけいこ)という。
私の事を娘みたく思ってくれている女性だ。
「な、なあ。もう帰らせて良いか。香を」
「えー。そんなな失礼だよ?お姉ちゃん。ね?お兄ちゃん」
「まあ、確かにな」
「私が恥ずかしいから!」
「えー?」
私は慌てながらそう言う。
すると恵子さんがクスッと笑ってから涙を浮かべた。
私達は驚愕する。
それから恵子さんを見る。
「恵子さん?」
「...あら。ごめんなさい。涙が...」
「どうしたんですか?」
「...幸せそうな貴方達の顔を見たら感極まって涙が出てしまって。ごめんなさい」
「...恵子さん...」
恵子さんの姿に唯が涙を浮かべてから涙を流しながら恵子さんに縋る。
それからわんわんと泣き始めた。
私はその姿に涙は浮かばなかったが。
複雑な思いになる。
「私は超えるよ」
「超えるって何だ。蛍」
「私は過去の傷を超えてやる。絶対にな。だから私はここで立ち止まる訳にはいかないな」
「...」
するといきなり香が私を優しく抱き締めた。
まさかの行動に私はボッと赤面した。
それから暴れる。
「何をしてんだよ!どさくさに紛れんな!変態!」
「蛍。俺達はいつでもお前の味方だ。勿論、クラスメイトもな」
「...!」
「泣きたい時は泣けよ。俺は絶対それが良いって思うわ。頑張れよ」
「そうよ。蛍ちゃん。貴方はまだ17歳。子供よ。私みたいな叔母さんに頼るべき年齢よ」
「...おかあさ...ん」
号泣し始めた私。
嗚咽が漏れた。
愛が、愛されたかった。
ただ、ただそれだけだった。
私は見た事が無いぐらいに泣いている。
「良いのよ。私の胸においで。もう2度と離さないわ。私が育てるわ。絶対に離さない」
その光景に私は。
涙が止まらず母性を感じた。
それから泣きじゃくった。
情けない。
だけど今までの感情が。
我慢していた感情が。
全てお姉ちゃんだからの感情が。
愛されたかった感情が。
鼻水も出てきた。
ぐしゃぐしゃだった。
だけど疲れていたのか。
恵子さんに縋るのをやめなかった。
その姿を香は柔和に見ていた。
彼女が寝取られた。そうしたら同じクラスの不良の少女がソワソワし始めたのだがこれは一体? アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
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