白が廻る
十余一
白が廻る
白、白、白。視界のすべてが白く染まっている。
曇天に立ちこめる雲よりも白く、地面を覆う冷たい雪よりもなお白い。山あいを漂う春霞のような曖昧さは無く、夏空に浮かぶ入道雲のごとく堂々としている。まるで太陽に炙られる灼熱の砂浜のようだが、白く砕ける波はどこにも見当たらない。見渡す限りのすべてが等しく平らかだ。
目がくらむ。眩しい。強い光の色が網膜に焼きつく。たとえ目を閉じてもこの色から逃れることはできない。
気が触れそうになるほどの白に囲まれて、人の一生は白に始まり白く終わるのだと悟る。
この世に産まれ落ちた純粋無垢な赤子は、祝福され乳白色の産着に身を包む。
肌に
大切な人を送るときが訪れれば、涙がそのまま固まってしまったかのようなパールホワイトのネックレスが首元で悲しげに輝く。そして最期は、萩があしらわれた
そうして眠った先にあるのは、きっとすべてが白く清らかな世界だ。苦しみも悲しみもないこの場所で、白に同化し漂白され次の機会を待つ。さようなら、また来世。
白が廻る 十余一 @0hm1t0y01
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