第44話 最終回

子供達が考えてるよりも、大人の恋は

しみじみとじんわりとゆくものです。


看病に慣れていたハンスさん。

男性に優しくされたロッテンマイヤーさん。


恋に落ちない訳ありません。

ふたりは気分転換と称しては散歩に出掛けています。


アルムの山は舗装されてる訳じゃないのもいいわけです。

ロッテンマイヤーさんがハンスさんの腕に自然とつかまることもできた訳です。


ある日、小枝にけつまづいたロッテンマイヤーさん。それを抱きしめたハンスさん。

見つめ合う視線はレーザービーム!JAPAN!

そこからの、、、。

キッスは目にしてーー。

じゃなくて、唇です。


あ、ここからは良い子のみんなは読まないようにね。


ロッテンマイヤーさんは唇って柔らかいのね。

あったかくて、ドキドキするものなのね。

知らなかった、、、。

と初めてのチューに酔いしれるんです。


アンがどうしようともふたりの出逢いは運命なのですから、なるようになったわけです。


夏は終わりになりました。

アンはチーズをお土産にアボンリーに帰ります。

ロッテンマイヤーさんはハンスさんと一緒にフランクフルトへ。


見送りの日。


「アン、また来てねーーー。

ロッテンマイヤーさんもハンスさんも。

絶対よ!指切りげんまんーー!」ハイジ


「うん、僕も待ってるから。来年の夏だな。」

ペーター


おじいさんとヨーゼフは違いました。

なーんも言いません。


「なーんて、ひどい夏じゃったんじゃ。

今年はわしは酷く痩せてしまった、、。

おかげで、夏の仕事もはかどらんかった。

もう、来年は勘弁して欲しいもんじゃ。

アンはマリラさんがおらんと暴れ馬と同じじゃわい。なぁ、ヨーゼフよ。」オンジ


「おじいさん、全くですぜ!

ようやく、ザビエルハゲも毛が生えてきたから

良かったものの。

毛根が死滅したかと、ハラハラしましたぜ。

この先、毛が生えて来なかったら、

ヨーゼフからザビエルに名前を変えようかと

思ったくらいですぜ。

全く、、、。とんでもねぇ。」ヨーゼフ


「おじいさま、ヨーゼフ。

楽しかったわ!まるで第二のふるさとを見つけた夏でしたわ。

私の第二の家と思ってもいいですか?」アン


「うぐぐうーー、、、。

あ、いかん、腹が痛くなった。

すまんな、アン、雪隠へ行って来るでな。

気をつけて、帰りなさい。

さ、ヨーゼフも一緒に行くぞ。」オンジ


おじいさんとヨーゼフは駅の裏のトイレで

ほっとため息をつきました。


「なぁ、ヨーゼフ、来年の夏までにわしの

体は元気になるかのぅ?

お前の生えかけた頭の毛がフッサフッサに戻るかのぅ?」オンジ


「おじいさん、、、。」ヨーゼフ


こうして、アルムの夏は終わりです。


あ、ハンスさんとロッテンマイヤーさんは結婚しました。

ふふ、赤ちゃんも産まれました。

女の子でした。

ロッテンマイヤーさんは、自分のお母さんのような厳しいお母さんにはなりたくないと思いました。

のびのびして、天真爛漫でお喋りで空想好きで

おこりんぼ、それでいて友達想いの女の子。

ロッテンマやーさんの子供はそんな女の子です。


まるで、ハイジとアンとクララの一面を授かったようですね。

人間は、色んな、一面を持っていていいのです。

色んな人がいて、それが世界です。


子供達の未来に幸ありますように。




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ハイジとアンのおかしなコンビ 菜の花のおしたし @kumi4920

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