第38話 調査開始とMEパック

 今日子は本田から【救世主】という謎の人物の事を聞いたが、それ以上の情報は引き出せなかった。


 「では、その救世主がギルド内に居るのは確実なのでしょうか」


 「はい。確実に存在します」


 「先日も他のギルド職員の方が来訪していたんですが」


 「まさにその時に”はぐれモンスター”が出現し」


 「見事に討伐してもらいました」


 「もし証言が必要なら居合わせたギルド職員と山梨南ブロック支部のギルドに話を聞いてもらっても構いません」


 「そうですか、分かりました」


 「では、後日また伺うかもしれませんが、よろしくお願いいたします」


 「捜査協力感謝します」


 「いえいえ、こちらこそ情報不足で申し訳ありません」


 「では、失礼します」


 西野今日子はある程度の情報を取得した後、着替えの補充の為に帰路へ就いた。




 


 ――――――――――――――――――――――――――


 『ガチャ』


 「だたいまぁ~」


 「キョン姉ぇ~おかえり~」


 「美咲。ごめんねぇ。着替え取ったらまた仕事」


 「お仕事大変だね。あ、それとチョットお願いがあるんだけど……」


 「ん?美咲がお願いなんて珍しいね。どうしたの?」


 「え~と。GWに合宿行きたいのだけど……」


 「え?学校からそんな案内来てたっけ?」


 「え~と。学校じゃなくてね。い、いばさんと……」


 「は?おっしゃってる意味が分からないのですが?」


 美咲はある程度の事の成り行きを説明した。ダンジョンで助けてもらった事から順に話す。


 そしてお隣さんである伊庭麟太郎とその社員、社員のご家族との合宿である事も説明するが……。


 「でもどうして美咲を誘ったのかしら?」


 「たぶん、包帯の取り外しに訪問した際、偶然合宿会議を聞いてしまったからだと思う」


 今日子は美咲が何か隠していると察知するが、質問を続ける。


 「伊庭さんの会社ってなんだっけ?」


 「たしか、引っ越しの挨拶に来た時、名刺を置いて行かなかった?」


 「あ、たしかそこの引き出しに入ってない?」

 

 「あ!あったこれだ!」


 「○○食品株式会社」


 「え?その会社…………」


 「キョン姉ぇ?」


 今日子は何かを感じた。直感である。


 ○○食品株式会社はさっきまで、まさに訪れていた場所だ。


 食品会社からハンターギルドに業態変更した会社なのだ。


 「美咲。合宿の許可は明日まで待って!」


 「ええええええ」


 「えええ。じゃない。待ちなさい!」


 「…………。はい」

 

 「じゃ私は仕事に戻るから留守番よろしくね」


 「はい。……」


 今日子は明日もう一度、ハンターギルド港区支部に行って調査を行う必要があると感じていた。

 

 それと同時に、1つ気になったことが…………ゴブリンダンジョンで美咲を救助した麟太郎の謎。

 

 たしかに初級者向けのダンジョンであることは間違いないのだが、あのダンジョンの発見と等級が決まったのは美咲の事件の後である。

 

 警察庁の上級能力者が探索して初めてE級クラスと断定したのだ。

 

 という事は、危険な上級ダンジョンかもしれない状況で普通の人間なら躊躇して入らないし、ましてや学校関係者でもない彼が何故、校内の敷地の中にある体育館の入口に居たのか。

 

 もし偶然にも何かの能力で空間の歪みを発見出来る能力が彼にあったとしても、ある程度実力に自信がないと出来ない行動である。

 

 そんな考察をしながら、今日の調査報告を行うために彼女は公安部へ戻った。




 



 ――――美咲の部屋――――


 就寝中、美咲の夢の中に景色が広がり訪れた記憶もない場所に佇んでいた。


 不思議に思い辺りを見渡すと、自分の立っている小高い丘から、なだらかに下るように馬車道が通っている。


 その先には水草の浮いた池があり湖畔の側に見慣れた人物が……。


 そう、麟太郎である。


 「おーい!美咲ちゃん~こっちこっち!」


 「あ!伊庭さん♪」


 美咲は麟太郎を発見すると、不安を払拭し笑顔を見せた。


 急いで馬車道を駆け降りる。


 「ようこそ!睡眠シュミレーターの世界へ」


 「ここが、そうなんですね♪」


 「うん。そうだよ」


 「なんか、MMORPGみたいな世界ですね」


 「お!鋭いね美咲ちゃん」


 「実は俺がやってたゲームの世界をそのままシミュレーターにしたんだ」


 「そうなんですね♪面白そう♪」


 「よし!じゃぁまずは美咲ちゃんにプレゼント!」


 麟太郎は左腕を光らせ赤いオーラを美咲に放ち、そしてそのオーラが彼女を包み込む。


 「……ん?これは?」


 「モーションエフェクトを詰め込んだ、スキルパック”影”シリーズだよ♪」


 「美咲ちゃんの職業〖忍者〗に合わせた特殊能力!」


 え?なんですか?それ?


 【影】シリーズとは麟太郎がシャドウバットと戦闘した時に得た《影移動》から派生したモーションエフェクトだ。


 すると美咲のステータス画面が開きキューブスロットが解放した。


 〖Cube Setting〗欄のルービックキューブが光り出し、縦回転と横回転をし始める。

 

 slot.1: ”サイレント”《命中率UPⅠ》《かまいたちⅠ》

 slot.2: 《影支配》Shadow type”潜” 《影支配》Shadow type”突” 《影支配》Shadow type”偽”


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こんなチートあり?失った左腕にメタルAIスライムが宿ったらなんと!魔法を創作!変幻自在の武器で無双し最強に【銀色のメタモルフォーゼ】 しん吉 @chef3232

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