第37話 美咲の変化と警視庁
ゴブリンダンジョンでの訓練も終り、睡眠シュミレーターの為のペンダントも渡し、ある程度レベルの上がった美咲を労ったので帰路に就くことにした麟太郎であったが。
「よし。美咲ちゃん」
「そろそろ帰ろうか」
「……はい。」
「あ、あの~」
「ん?どうした?美咲ちゃん」
「なんか体調でも悪くなった?」
「い、いえ。そうじゃ無くて」
「逆なんです。なんか体が変なんです」
「レベルが上がってステータスが上昇している実感はあるんですが」
「それとは別のなにか、不思議な感じが……」
「う~ん……なんだろうね」
麟太郎も不思議に思い、ふと美咲の顔を見つめていたのだが……。
「え?え?美咲ちゃん!」
「目が!右目が!」
そんな美咲の発言と同時にとんでもない事が起こり始めた。
なんと、彼女の右目が赤く光りはじめたのである。
「伊庭さん。どうしたんですか?」
「私の右目が変ですか?」
「変というか、俺の左目が赤くなるのとまったく同じ現象だ!」
「ええええぇぇえ?」
「ちょっとまって。今AIさんを呼び出すから」
そう言うと左腕から分離した相須来夢が登場した。
「AIさん。これってどういう事?」
<少し美咲様を調べてもよろしいですか?>
「ああ。頼むよ」
<かしこまりました>
<では美咲様こちらへ>
「は、はい。」
<まずは右目を調べます>
AIは指先から光を発し医療現場で使用するペンライトみたいな光線を右目に当てた。
<!!!>
何か分かったようだ。
<美咲様。今度は右腕を触診させて下さい>
「はい。」
<!!!>
右腕を触診し、確信に変わったようだ。
<マスタ。落ち着いて聞いてください>
「なんだよ改まって……」
<美咲様の異変はメタル細胞との融合のようです>
「ええええええええ」
「もしかして、あの包帯のせいか?」
<おっしゃる通り、そのようです>
<右腕の傷口に異世界の遺物が侵入しようとした為>
<包帯を形成していた一部のメタル細胞が分裂して撃退し>
<その際、ナノレベルまで分解していたので>
<近くの細胞と融合してしまった可能性があります>
<そして細胞分裂を繰り返し増えていったと推測出来るでしょう>
「って事は、俺と同じ?」
<そのようです>
「あの~。私は、その、どうしたら良いのでしょうか」
「美咲ちゃん。落ち着いて聞いてね」
「俺の体の事はこの前みんなの前で話したよね」
「はい。」
「この前は詳しく話す時間がなかったんだけど」
「実はAIさんが俺の治療の為、自身の細胞を分解して脳の一部を補っているんだ」
「その際、人間の細胞と融合してしまってハイブリッド型の人間になってしまった」
「その代わり、人間より身体能力や魔法に必要なエネルギーなどが上昇してるんだよ」
「なので、その、治療の為だとはいえ美咲ちゃんの体を変化させてしまって」
「ホントに申し訳ありません。ごめんなさい」
麟太郎は自分自身の浅はかな行動で一人の女性を巻き込んでしまった背徳感に心底反省していた。
彼女の体が人間の体では無くなってしまったのである。
「………………。」
「伊庭さん。……」
「はい……」
「それって、私、伊庭さんと同じ体になってしまったと?」
「はい……。すいませんでした」
美咲も自身の体が人間ではなくなってしまったと理解する。
「……嬉しいです」
「はい。すいませんでし……ん?……え?」
彼は混乱した。今、西野美咲が嬉しいと発言してきたからである。
一瞬聞き間違えたかもと思ってみたが、確かに嬉しいと言った。
「私、伊庭さんと同じ体になれて嬉しいです♡」
「だって伊庭さんみたいに強くなれるんでしょ」
「ま、まぁ」
「他の皆さんのお荷物にもならないって事ですよね」
「そ、そうだね」
「私、約束しました。伊庭さんに助けてもらった時に」
「伊庭さんに協力するって」
「うん。確かに」
「だから、嬉しいんです♡」
「そっか、そっか。美咲ちゃん」
「ありがとう!」
「はい♡」
<お話が弾んでる最中で申し訳ないのですが>
<マスタと同じ細胞になったことから直接モーションエフェクトなどが付与できるようになりました>
「おお!それは良い!」
「それなら美咲ちゃんにはアレだ」
「右目に俺と同じインターフェイスを付与したらどうだ?」
<かしこまりました>
<それでは付与を開始します>
AIから赤いオーラが光りはじめ、美咲に向かって移動し包み込まれていく。
インターフェイスの管理画面があると忍者特有の索敵機能が強化される。
「えええ@@凄い!」
「なんかゲーム画面みたいな映像が目の中に映っています!」
「美咲ちゃん。使い方はおいおい教えるね」
「それとAIさん。スカウターも着けちゃおうか」
<投てき武器には便利ですね>
<それでは付与します>
これで手裏剣などの武器は百発百中になるし、同時に何枚もまとめて投げることができる。
付与が終了した途端、美咲のペンダントが変化し始め、ぶち眼鏡に形成し顔に装着しだした。
両目スカウター眼鏡女子の完成である。
「伊庭さん。ありがとうございます!」
「うん。そしたら今夜眠ったらまた会おうね」
「はい。パ、パジャマで良いですか」
「うん。ゲーム世界の装備を自動で装着しているから大丈夫だよ!」
「パジャマは嫌いですか?」
「むしろ好きです!」
<マスタ……>
(はい。すいませんでした)
――警視庁公安部二課――
「おい!西野!」
「はい。なにか御用でしょうか」
「お前、今日から日比谷で起こった事件の調査を行ってくれ」
「え?私がですか?」
「そうだ。なにか問題でも?」
「って言うかですね。私は四谷のはぐれモンスターの件も担当してるんですよ!」
「その他にも埼玉県警からの応援要請で秩父市の小動物園ダンジョン調査とか」
「しょうがねえだろ!上からの指示なんだから!」
「私はいつ寝れるんでしょうか」
「寝ながらでも仕事しろ!」
「もう一人補佐を付けてやるから何とかしてくれ!」
「あー。もぅ。分かりましたよ」
「その代わり1回自宅に戻って着替えを持ってきても良いですか?何日も帰ってないので」
「勝手にしろ!だがその足でまずは港区のハンターギルドに寄って情報を集めてくれ」
「はいはい。承知しました」
警視庁公安部二課の西野今日子は連日の事件で飛び回っていた。
そんな最中、上層部からの理不尽な指示に不満を募らせながらも、しぶしぶと港区ハンターギルドに赴く。
「ここが港区のハンターギルドなんだ」
「元は食品関連の会社だと聞いていたけど、そんな強いハンターが居るのかな?」
西野今日子は入口付近まで足を運ぶと、調査の方法を考えていた。
「さて、なにから調査しようかな」
確かに、日比谷ダンジョンの消滅は不思議な現象だった。
光の雨が発生してから日が浅い状況で攻略するのも不可能に近いA級ダンジョンがあっさりと消えたのだ。
消えた原因はマザーの情報にもあるようにダンジョンコアの破壊しかない。
それを破壊した人物が日比谷の近くに居たという事は間違いないのだが……。
いろいろと考えてもしょうがない。
まずはランダムに聞き込みを開始して、その情報を時系列にまとめる方法しかないなと思い、1階フロアの受付へ足を運んだ。
「すいません。私はこういう者なんですが」
今日子は警察手帳を提示し、大まかな目的を説明し情報の提供を求めた。
受付嬢は早速手配を始め、本田部長に内線を掛けると応接室に通すように指示を受け案内をする。
「初めまして、本田と申します」
「突然ですみません。警視庁の西野と申します」
事情聴取を始めた今日子は本田から不思議な人物の存在を聞いてしまった。
「救世主?ですか?」
こんなチートあり?失った左腕にメタルAIスライムが宿ったらなんと!魔法を創作!変幻自在の武器で無双し最強に【銀色のメタモルフォーゼ】 しん吉 @chef3232
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