第15話 2×3=6(ロック)な物の怪退治!

   ピピピピ、ピピピピ。

「主よ、いい加減に起きよ」

「うー……あと五分」

 バサッと躊躇なく布団をはがされる。

 さっむ!

 四月の肌寒さに、思わず布団から飛び起きる。

「寺子屋に遅れるぞ」

「……鬼六。今は寺子屋じゃなくて学校、小学校だよ」

「そうか。ではその小学校とやらに遅れるぞ」

「ってもうこんな時間!? 何で起こしてくれなかったの!?」

「起こしたぞ……全く、朝の弱い奴よな。我が主は」

 毎朝おぬしも大変だな、なんて言って目覚まし時計を撫でている奴を横目に見ながら、私はランドセルに宿題の漢字ドリルを詰め込んだ。


 私たちは鬼に『勝った』。——けど倒せなかった。

 どういうことかって言うと、あの一撃は鬼を気絶させるので精いっぱいだったのだ。

 しばらくの間、どうしようかと話し合っていると、鬼はいきなりパチッと目を開けてこう言った。

『なかなかの勝負であった。本調子ではないとはいえ、勝負は勝負。敗者は勝者に従おう』

 こうして、何故か。そう、『何故か』。武士道精神にあふれる鬼は、御桃さんでも二二ちゃんでもなく、私の式神となった。

 ちなみに、『鬼六』は私がつけたあだ名だ。


   キーンコーンカーンコーン。

 六時間目のチャイムが鳴った。ランドセルを背負って、今日も二二ちゃんと一緒に帰る。

「さあ、未申ちゃん! 今日も物の怪退治に行きましょう!」

「ええー……?」

「まだ未申ちゃんの霊力コントロール修行は終わっていません! じゃんじゃん物の怪を退治して、目指すは! 安心安全なスクールライフです!」

「分かった分かった、行くってば」

 物の怪に関わるのは嫌だけど、嫌だけど! でも、修行が終わるまでは続けてもいいかな。

 ……終わってもちょっとぐらいなら、やってもいいかもしれない。

 正反対で半人前の私達が掛け合わさって。そうして生まれる、最高にドキドキロックな物の怪退治を!

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2×3=6(ロック)なモノノケ退治!! 蝶夏 @tyouka

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