第一章 分岐点④
フィリオを
本来なら王城で盛大なパーティーを開く予定だったが、それが出来ないと知って
アヌカルンダ各地では、三カ月ほど前からなぜか
そんな時だからこそ
母がフィリオも一緒に連れてきてくれたことを私は喜んでいたが、今にして思えば、
そうして公爵家では盛大なパーティーが
しかし、慣れというものこそが恐ろしいと、当時の私は知らなかった。いや、知っていても理解はしていなかったのである。
護衛たちが周囲の安全
「フィリオ! 今そっちに行くから、動いては
「お
川の流れの速さも深さもわからないというのに、ドレス姿のままフィリオを助けようとして自分まで川に入り、
「きゃ……!」
ずる、と川底の
「お義姉様!」
しかし、
ゴボゴボゴボ、と口から
まるで地上にいるかのように
「レア王女
ざぱり、と私の
「フィリオ! フィリオ!」
「レア王女殿下、フィリオ殿下もご無事ですよ」
「お義姉様……良か……た……」
フィリオを
こうして護衛騎士が駆け付け私たちはことなきを得たのだが、表面上は私たち二人が無事で良かったと
魔法とは、その素質のある者が生命の危機に
「いいえ、レア王女殿下は覚醒後の発熱なども見当たりませんし、護衛騎士がすぐに救い出したので命が
公爵家の主治医がそう答えた時の、母のつまらなそうな顔はよく覚えている。
ただ、事故の原因はフィリオだったと知った母の
「お前が! お前なんかがレアを危険に
同時に、ビシリ、と
早く、早く……助けないと。
「レアに何かあったら、その身体を八つ
「ご、ごめんなさい……っ」
母の
ポゥと
母は、上半身
そして
激痛。服を着ていても
「レア!」
母の悲鳴のような
「お義姉様……?」
「フィリオ、
灯りに照らされたフィリオの白い
「お義姉様こそ……っ、今、僕の代わりに……!」
自分のほうが私の何倍も痛い思いをした
「レア、下がっていなさい。これは教育です」
「お願いですお母様、これ以上はやめてください。私が悪かったのです」
私は母に頭を下げて
「何を言っているの、レアは悪くないに決まっているじゃないの」
「そうですお義姉様。お義姉様は悪くありません」
フィリオは目に涙を
その
「フィリオ、
「レア」
「申し訳ありません、お母様。罰なら私があとで受けますから」
母の制止を無視して、私はフィリオの背中には
「仕方ないわね。レアに
「はい。ごめんなさ……申し訳ありませんでした、
母はフィリオを家族に
川の中で立ち往生するフィリオを見た時、冷静な判断が下せなかった自分の浅はかな行動のせいで、フィリオの背中と心に大きな傷を作ってしまったと私は
部屋に
こうして私の十歳の誕生日は苦い散々な思い出になってしまったため、以来私とフィリオは母を
母は私をとことん管理したがり、私が希望したアカデミーには通わせず、ディボルフ
母は、私が母に
そのまま何事もなければ、母に
大きな変化が起きたのは、フィリオが我が家族の一員になってから七年が経過し、十三歳になった
フィリオの背中に、同じ時代には二人以上発現しないと考えられていた、
私を殺す義弟を籠絡しようと思います 関谷れい/角川ビーンズ文庫 @beans
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