第3話 叶わない願い。

 基本的に私は家族というものにいい印象はない。将来絶対にしたくないことを挙げろと言われたら真っ先に結婚を上げる。子供と暮らすなんてのは以ての外だ。まず間違いなく虐待行為をしてしまうだろう、というのは置いておいて、それでも私がたまに思うことがある。

 それは「兄が欲しかった」ということだ。前話の「イマジナリー家族」ではなく現実に。


 うちの親は子供に理想を投影している。しかし私がその理想通りになれていたのは小学校の低学年くらいまでで、そこからはだんだんと私も自我を持ってしまったし、能力的にも理想とは程遠くなってしまった。だから殴られることを甘んじて受け入れるなんてことを言うつもりは毛頭ないが、もしも兄や姉がいたら、親は「子供に対する諦め」をもって私に接してくれたんじゃないかなんてことをたまに思う。ようは実験台が私の前に欲しかったという話だ。ひどい願いというのは自覚している。


 3:1になってしまうこともあるかもしれない。2:1:1になるかもしれない。けれど2:2になれるなら、もう一人家族が欲しかった。


いや、家族を家族だと思いたかったし、家族を好きでいたかった。家族を呪いだと思いたくなかった。


すべてもう叶わない願い事だ。

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家族 liol @liol_r_

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