第2話 夢の中
さて、夢の中というべきか、精神世界というべきか。要は現実ではないということが伝わればいいのだけど、「イマジナリーフレンド」のような感じで「イマジナリー家族」が存在する。このイマジナリー家族の特筆すべき点は兄がいることだ。前述のように、私は一人っ子で兄弟がいない。
ほんとに兄がいる人からすれば、そんな兄はいないと思われるだろう。話を聞いてくれて、一緒に遊んでくれる。理想の家族を想像してもらえればおそらくそれがそのまま彼の説明として当てはまると思う。彼は夢の中でしか会えないが会える夢を見たいと思って見れるものでもない。
今思い出せる限りで夢の話をしよう。
私は現実通り18歳で、親の年齢はわからない。兄はおそらく20代前半くらいで、現実なら少し年の離れた兄弟という描写になると思う。家は一軒家で、ここが夢らしいというべきかなぜかところどころにカラクリ仕掛けがあって、例えばよくわからないところから階段が出てくる。というか多分時空がゆがんでいる。と、そんなことはどうだっていい。夢の中の家の中で私は兄に引っ付いている。我ながら18歳の男子高校生がやることではないと思う。しかし私にはたとえ夢のなかであったとしても、自分のことを否定しない家族は物珍しくて、なるべく一緒にいたいと思ってしまう。
心の奥では家族というものに期待をしているのかもしれない。そんなことを思わされて、この夢を見た後の朝は憂鬱だ。
とはいえ「イマジナリー家族」はそこまでいいものでもなくて、親は全然怒鳴ってくる。なんなら現実では必死で機嫌を取って怒鳴られないように、殴られないようにとしているはずなのに、夢の中の私はすぐに調子に乗るからすぐに怒鳴られる。おそらく親はそういうものだという意識が夢に出てくるほどまで刷り込まれているのだと思う。
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