他人事

ペプラのどん

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今は2100年。AIの技術が発展し、一家に一台ロボットがあるのが当たり前の時代になった。しかし、地球は地球温暖化によって住めない星となり、人々は地球を捨て、新しい星に移住した。それから数十年が経ち、ある王が世界に一つしかない最新型の人型AIと共に住んでいた。


この時代、自分で仕事をする必要はなく、王はすべての仕事をAIに任せていた。結果として、王は堕落した日々を送り、次第に太り、わがままな性格になってしまった。


そんなある日、国民が数名道端で亡くなっているのが発見され、そのことが話題になった。医療ロボットが調べたところ、それは余命1年の感染症によるものであった。そして、この病気によって多くの国民が倒れていった。しかし、幸いにもこの病気は非常に苦い薬を飲むだけで治ることがすぐに判明した。


王はこのニュースを見ながら、「そんなに苦い薬を飲むくらいなら死んだほうがましだ」と笑った。


数日後、国民全員が検査を受けることになった。この病気にかかっているかどうかは検査を受けなければわからないためである。王は自分が病気になっているとは夢にも思わず、検査を受けた。後日、王のもとに検査結果が届き、その結果は陽性であった。検査結果の紙と薬が同封されていた。


王は検査結果をびりびりに破り捨て、薬を手に取った。覚悟を決めて薬のふたを開けた瞬間、王は動かなくなった。王の背後には血の付いた刃物を持った人型のAIが立っていた。AIは「ニンムカンリョウ」とだけ言い、その場から去った。

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