団欒
元気がアイリスとお耳ふ~ふ~や、おままごとをして遊んでいると、あっ!と言う間に日が暮れた。
ミルオレは屋根裏で本を読んでいる。ミールはフェルミナで慣れたのか、新エルフの登場に驚く事は無かった。
そして、夕食時。食卓に皆が集まり出しす。そんな中でミリャナ達が帰宅した。
「ミリャナとは貴様か?アイリスの母でメイドとなったミルオレじゃ、よろしくなのじゃ」
無駄に大きな胸をはるミルオレ。
「えっと……よろしくお願いしますねミルオレさん」
新たな女性の出現に戸惑いながらも、ニコリと挨拶するミリャナ。それを見て、ミルオレがアイリスに耳打ちする。
「ほう、元気の好み、はこの様な生娘な感じなのか……アイリスよ。ちょいと手強いぞ?」
「大丈夫です!ミリャナ様は好きですけど、私負けません!」
そう言ってグッと小さなお胸をはるアイリス。耳打ちが終わると、ミルオレはミリャナに視線を戻す。そしてポタンを指差した。
「して、ミリャナよ、何故エルフの子供を抱いておるのじゃ?本来森の中で育つものじゃろ?」
「この子はポタン、元ちゃんがエルフの里を救った時に連れて来まして……それから一緒にくらしてます」
指を指すミルオレを、ギロリと睨むポタン。
「ミルオレ、よろしくね。フェルミナから話しを色々と聞いたんだけど……。庭で暴れたって本当なの?」
「あ、いや、そうじゃな、そうだ!遊んでおったのじゃよ!な!フェルミナよ!」
「いや?コイツは酷かったぞ。ポタン説教してやってくれ」
今度はフェルミナがビシッ!とミルオレを指差す。
「な!?酷いじゃないフェルミナ!仲直りしたじゃん!」
焦ると、口調が素に戻るミルオレだった。
「仲直りはしたが、元気に電撃を喰らわせ罵倒した事は許してはおらん」
「だ、だから。悪かったってば~……」
電撃を喰らったのは俺なんだが?と思う元気をよそに、フェルミナに必死に謝るミルオレだった。
「……電撃?罵倒?……元ちゃん……大丈夫なの……?」
ミリャナが心配そうに元気を見る。
そのミリャナの姿を見て元気は思う。おっぱいとお尻がデカイ美人なだけが取り柄で、罵詈雑言がデフォルトのお馬鹿なエルフよりも、さっき産まれたばかりの天使の様な、誠実さと純粋さの塊。優しさで出来たお菓子。カントリーマームの様なミリャナの方が一万倍可愛い……いっそ食べちゃいたいな……。と……。
そんなミリャナに元気は笑顔で答える。
「大丈夫だよ。ミリャナ。俺がミリャナにいつもしてあげる。電気マッサージのちょっと強いかな~?ってやつだから」
「あの、ピリッとしてピクッとなっちゃうやつ?」
「そうそう、だから心配無いから手を洗っておいでよ。ご飯の準備するから」
「うん、それなら良いけど……」
そう言いながらも心配そうに、ポタンと洗面所へ向うミリャナ。
「元気よ、お前、ミリャナに何しとるんじゃ?あの娘、見るからにそういう事にうといじゃろ」
怪訝そうに元気を見やるミルオレ。それにミールが乗っかる。
「元気は、優しい姉さんにつけ込んで。日々いやらしい事をしているんだ」
「なに?ミールの言う事は本当か?貴様、最低だな」
「ミールの言う事は信じるな、大抵の事は嘘だ」
元気がそう言うと、フェルミナが乗っかり加勢する。
「そうだな、ミールはろくな事を言わない」
「ミール、わらわに嘘をついたのか?」
ミルオレは、無条件でフェルミナの味方だ。
「嘘じゃ無いさ。ピリッとしてピクってするマッサージって何だよ?」
「何なのじゃ、元気?」
ミルオレが元気を見ると、それに釣られて皆が一斉に元気を見る。
「……さあて。ご飯の準備をするから、君達は静かにしなさい。アイリス?お手伝いしてくれるかな?」
「は、はい!旦那様!頑張ります!」
ご飯。という武器でミールとミルオレを黙らせ、アイリスと一緒に準備をする。そして台所に着くと、アイリスがクイクイっと元気の服を引っ張った。
「あ、あの、旦那様?わ、私もそのまだ、ちゃんと生娘ですので……」
「心配しなくても大丈夫だよ、わかってるよ、安心して」
少し元気になったと言っても、あんな事があった後だ……。子供でも、気になる所なのだろう。アイリスの為にも、卑猥な会話は控えなくては……と元気は思う。そして、モジモジするアイリスの頭を優しく撫で撫でしてあげた。
「あの。なので……私にもその……マ、マッサージして貰っても、良いですか?」
顔を赤らめて、モジモジそう言うアイリスに、深刻に考えすぎか……。と思いホッとする元気。
「フフッ。いっぱい遊んで疲れたもんな!もちろんだよ!マッサージして欲しくなったら、いつでもお部屋においで」
「はい!ありがとうございます!」
元気がそう言うと、アイリスが嬉しそうに夕食をテーブルに運び始める。嬉しそうなアイリスの後ろ姿に、良かった。と満足する元気だった。
今日の夕食は、合計7人での食事だ。ポタンはベビーカーに座っている。テーブルがぎゅうぎゅうで騒がしかったが。楽しい夕食だった。
夕食後。元気はミリャナにマッサージをしながら、今日の事を聞いてみる。ピリッっとさせる所はポタンの指示だ。
「最初は、んっ、ビックリしたけど、んっミルオレさんが、あっ。いい人そうで良かったはぁっ」
電気が流れる度にピクリ。とするミリャナ。
「そうか、良かった、良かった」
「はぁ~、んっ、慣れて行かないとぉんっ!元ちゃんのぉっ、為だものぉんっ」
「あ、ありがとうねミリャナ」
ミリャナの口から漏れる吐息が、元気の耳を襲う。
「フフフ、いいわよ……っはぁ~でも、皆が楽しそうで楽しかったわぁんっ、独りの頃とはぁ、大違いだものっ……ありがとうね……んふっ。元ちゃ、ぁん……」
「こ、こちらこそ……ありがとう……」
顔を真っ赤に火照らせ、薄く汗をかくミリャナを眺めながら元気は思う。ふわふわ。ほよほよ。ぷにぷにしていて。そして、耳に幸せを、眼球に潤いを。本当にありがとうございます。……はぁ。でも良い匂いだなぁ……このままミリャナのお尻に顔をーー
ーー「パパ、顔が気持ち悪い」
「ハッ!?……き、気のせいだよ。……ポタンありがとう」
元気の理性がもう少しでどこかにお出かけする所だった。
その後、ミリャナのマッサージを暫く楽しんで、スッキリした後グッスリと就寝した。
そして、次の日の午前中。メルヒオーネが元気を迎えに来た。
ミルオレは朝から屋根裏へ行っている。ミルオレを屋根裏から引きずり出し。アイリスと一緒に連れて行く、一応魔国の姫だ。ヴァイドへの顔見せ目的だ。
「おい!そこのハーフエルフ!その人間を連れて来い!其奴をここへ連れて来い!」
「そ、そう言われましても……」
愚図るミルオレに、困るメルヒオーネ
「わらわに逆らうか!このハーフエルフふぜっひゃん!」
電撃を出そうとするミルオレの尻を、元気がパァンと強めに叩き、馬車に詰め込んで領主の城へと向かう。よほど読書の邪魔をされたのが気に入らなかった様で、道中ずっと魔力でメルヒオーネを軽く威圧するミルオレ。
「そうだお母様。お洋服お着替えしましょう!」
「何故じゃ?」
ポンと手を叩くアイリスに、ミルオレが不機嫌全開で答える。
「何故って、お母様は、旦那様のメイドなのですから、メイド服を着なければ!」
「な!妾にそんな服を着ろと言うのか!?」
「……そんな服……。旦那様がくれた……私のお気に入り……」
アイリスが悲しそうにションボリしてしまった。
「おい!ミルオレ!アイリスがお前の事嫌いになっても、すぐに追い出すからな!……アイリス~。とても似合ってるよ!ほら落ち込まないで、クッキーあげるから。ほら、お膝においで」
元気がそう言うと、ションボリしながら、元気の膝の上に向かい合わせに座り、元気に抱きつくアイリス。
「ア、アイリス!その座り方はおかしいじゃろ!普通は反対じゃ!」
「…………」
アイリスが無反応のまま、元気にあ~ん。と小さなお口を開ける。すると小さな八重歯がちょこんと見える。
「まったく、アイリスは甘えん坊さんだな~」
元気がそんなアイリスの八重歯を、こちょこちょっとしてみると、アイリスが恥ずかしそうに笑う。アイリスが笑った事に元気は安心すると、クッキーを食べさせてあげた。
「お、おい!ハーフエルフ!おかしいだろう?あれは!どう見てもおかしいだろう!?おい!貴様!目を開けろ!」
ミルオレがメルヒオーネをガクガクと揺する。メルヒオーネは何も見ていないとばかりに目を閉じている。
「…………。私は……坊ちゃまに忠誠を誓った身……何も見てません……」
「ぐぬぬ……。妾の味方はおらぬのか……」
「ぼろカス人の事馬鹿にしといて、何で味方がいると思ってるんだよ?」
「な!?ま、魔国では……」
「ここは人間の国で、もうお前は姫でも何でも無い。言わばニート。タダ飯喰らいだ」
元気の言葉に驚くミルオレ。アイリスとチラリト目が合うもプイッと逸らされる。
「アイリスが怒るのも当然だ。こんなに小さくて可愛いのに、迷惑を掛けない様にお仕事しようと頑張ってるんだ。それを馬鹿にする様な事言って……可哀想に……」
「ば、馬鹿になど……。。……わ、わかった!服を着るから出せ!アイリスもこっちに来い!そこはいかん!……服を着るから……クッキーを妾にもよこすのじゃぞ!」
「まったく……。これでいいか?アイリス?」
「………………はい!」
暫く何かを考えた後。笑顔で答えるアイリス。その後。ガチャガチャ言いながらも、馬車の中でちゃんとメイド服に着替えたミルオレだった。
姉の為に世界を救おうと思う ダビマン @daviman
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