海の揺らぎと1人の妹

@siu-55

第1話



確かに彼女とは血が繋がっている。

長い間一緒にいなかったから実の双子でもそう感じさせない何かがあったが。

だが、それがなんであろうとも紛れもない俺がずっと探し求めていた、たった一人の妹だ。

俺たちは一旦城を出て二人で暮らすことにした、海の近くのアパートだ。セパレートで料理をちゃんとするかは置いといて、キッチンもちゃんとある、寝室と言える場所は無いが敷布団で寝る予定だったから問題は無い。広くは無いが二人が住むのにはちょうどいいぐらいだった、大家さんには「あらぁ 同棲かしら〜?」と冷ややかされてしまった。まだ彼女はその言葉を理解していなかった為、困惑していたが俺は双子の兄弟だっ!と少しばかり声を上げてしまった。

こんなこともあり、しばらく二人っきりで暮らしているとやはり意識してしまう

“一人の女性”として、彼女は家族だからという理由ではなく単純に誰に対してでも普通の人よりも距離感が近い。

俺のこともすごく慕ってくれる。何かを頼めば嫌な顔ひとつしないで「分かった」と言ってすぐに行動に移す。多分一時の疑いもせずに、こんな性格だからこそ俺は時々兄としてではなくただの男として何かを求めたくなってしまうことがあった。

夏至になり熱くなりゆく季節。寝る際は節約のためにエアコンは付けないで網戸にして海風の冷たさを肌に感じお互い薄手の服を着用し横になる。その服は昼に見る綺麗な海の透け具合と同じ感じだった。

決して触れることはないけれど______

触れてみたい。

小さい頃初めて海を見た時に永遠と続くその先の景色を見てみたい、たどり着きたい、知りたいと思った、夜の海は俺の妹だった。

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