第二章 四
午前の講習が終わり、美咲、花江、ユキの三人は、大学の学食で昼食をとると、大学の中庭にある横長い椅子に座り、三人で談笑していた。
ドラマだの漫画だのタレントの誰々がだのとか、話に花を咲かせている。
美咲は、この三人で話をするのが好きで楽しくて、この先も社会に出ても、この三人で楽しく会話できる事を心から願っていた。
しばらくして会話は、ユキの思い出した様な話で別な方向への会話と変わった。
ユキが両手の平を軽く叩いて、話を切り出す。
「ここ最近でさ、ネットのオカルト掲示板に新しい都市伝説と言うか、怪談と言うか、とにかく投稿されていてね」
オカルト好きのユキが、新たな話を発見したと言う話に、花江は、またかと言う表情をして首を小さく左右に振った。
ユキは、こう言った。
「邪眼の巫女」
美咲は、それを聞き、胸がドキリとしユキの顔を見つめた、ユキは目をキラキラさせ話を続ける。
「巫女の目を見たら呪われるって話しでさぁ、ん~と、確か茨城県の津原市の浜高町にある何処かの山の神社らしくて····」
美咲の実家は同じ茨城県だが津原市には、かなり遠い。
美咲は、父が生前、人が変わった様になり、パソコンをよく見ていたと言う母の言葉を思い出していた。
「ねぇ、その掲示板に、邪眼の巫女を投稿したのは誰なの?」
美咲が真剣な
ユキは、美咲の真顔に少し
「それが、投稿者がわからなくて、と言うか大体、投稿する人はイニシャルとか、自分で作ったニックネームとかだし····」
美咲は、更にユキに質問する。
「津原市の浜高町の山に在る神社の呼び名は? 何て言う神社なの?」
ユキは、ちょっと困ったように
「それもわからないよ、名前のない古くから在る神社としか····」
美咲は、警察の
「その投稿が、あったのは何月? 何日?」
「え~と、いつだろ? 三カ月前くらいかな·····。アタシが見たのは最近だけど····」
ユキが、うろ覚えで答えた。
花江が、「美咲、どうしたの? ユキのオカルト話に真剣になって····。ひょっとして何かあったの?」
美咲が花江の言葉に、ゆっくり
「父さんが、亡くなる前に山の神社に行ったらしいの····。無事に家に帰って来たけど、その日から何か人が変わった様になったって、母さんが言ってたの」
美咲は、父の生前の話を、母から聞いた様に、花江とユキに話した。
パワースポットと思って行った山の神社で呪われたかも知れない成人らしき男性からの御祓いの頼み、でも、その呪いは強力で、なのに父は一人で、その山に行ったと····。
花江とユキは、美咲の、その話を初めて聞いた。
一通り話すと、美咲は黙り込み、自分の膝辺りを見つめていた。
口を開いたのはユキだった。
「だったらさ、サークルの人達に相談したらいいんじゃない?」
美咲が、膝から視線をユキの顔にうつし
「サークル?」
ユキが続ける。「そうオカルトサークル、オカルト研究会とでも言うのかな? アタシ、この前にオカルトサークルに入ってる一年生の子と話す機会があってさ」
花江が、「ちょっとユキ、美咲に変なサークルを
「変じゃないよ、変人は多いらしいけど····。心霊現象に関しては、すんごく真面目らしいよ、サークルに入るんじゃなくて相談って事でさ、きっと協力してくれるよ」
美咲が、それを聞いて。
「うーん、入る気はないけど····。相談に乗ってくれるなら····」
花江が美咲に、「えっ! 本気?」
ユキが、「じゃあ、アタシからオカルトサークルに入ってる一年生の子に聞いてみるよ、美咲も合った事あると思うよ」
「一年生でしょ? 話した事あったかなぁ?」
と、過去、大学で会った人達を頭の中で探る美咲。
するとユキが、「ほら、『す』が、上手く発音できない子」
美咲が、「『す』が、上手く発音できない子····。」
その時、美咲の脳裏に、あどけなく可愛らしい女子の顔が、よぎった·····。
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