第一章 四
······
高田が自宅であるアパートに、山倉に送ってもらっていた。
「結局、何もなかったなぁ·····。山倉、頭の痛みはどうだ?」
「ああ、今は大丈夫だよ、しかし何でいきなり痛くなったんだか·····」
山倉が車を運転しながら疑問を口にしていた。
「ぶつけた覚えが無いなら妙だなぁ、頭だし一回病院で調べてもらったらどうだ?」
うーん、と唸りながら山倉の運転する車が高田の住むアパートに着いた。
「そいじゃ、お疲れさん。送ってもらってありがとな」
高田が、後部座席からそう言いながら車のドアをあけた。
「まぁ運転は俺の仕事のウチよ、お疲れさん。また明日な」
そう言うと山倉は、車を
高田がアパートの階段を上がって、三階の自宅に入る。
高田も一人暮らしをしている独身だ。
居間の部屋に行き、あぐらをかいてカメラを見ていた。
カメラに傷なんか付いてなかったのに、何でだろ?と、疑問に思いながら今日撮った画像をカメラの画面に順番に映していく。
神社の建物、木々、変わったモノはやはり写ってない。
「はぁ、やっぱり奇妙なモノは写ってないか····」
溜息をつき画像を回していく、その時一瞬、何かが目に入った。
高田は画像を前の画面に戻す。
神社のボロい建物、中を覗いている光村の後ろに写っているモノ。
「え? 何で?」
車で確認していた時は、何も変わったモノは写ってなかった画面の一枚。
だが、建物を覗いている光村の後ろに、人····? 画面に釘付けになる高田。
また次の画面に進む、木々の画像のはずなのに、画面には建物を覗いている光村の姿が映し出されている·····光村の後ろにいる人が、より鮮明に写っている。
長い髪をダラリと垂らし顔を下にさげている···。
白い着物、緋色の
ゴクリと高田は生唾を呑んだ。
次の画面を見るべきか
次の画面に切りかわった瞬間。
部屋が真っ暗になった。
「な、何だ? 停電か····?」
すると高田の耳に何かを
スッ····スッ····スッ····。
その音は高田に近付いていくくる。
高田は急に恐怖を感じ、痛いほど全身に鳥肌が立つ。
スッ····スッ····スッ····。
だんだん近づいてくる、音が大きくなってくる。
高田は恐怖と混乱のせいか動けない。
音が、耳元まで来た。
怖い!。
高田が叫びそうになる。
その瞬間、電気が付き部屋が明るくなった。
高田が、息を荒げながら、やっと動ける身体で周りを見るが、誰もいない。
ホッとしてカメラを見ると、画面一杯に女の顔が写っていた·····。
カメラの画面一杯に女の顔が映し出される。
女のダラリと垂らした髪の隙間から見える両目の中が
沢山の小さな眼球が、キョロキョロと動いている。
女の目の中にある沢山の眼球が、一斉に高田の目を
高田の心臓が驚きと恐怖で跳び上がり。
「ひっ···うあっ、うあああああ!!」
ハッとし、高田が目を開けた。
目の前に山倉がいた····。
「あれ····何で····山倉····」
「どうしたんだよ高田? 何かあったか?」
車の中····。
いつの間にか高田は眠っていたらしい。
「ったく、人が運転しているのに後ろでイビキかいて寝てやがって、アパートに着いたぞ」
高田は汗をぐっしょりかいていた。
「あ···ああ、ワリぃ····」
高田は額の汗を袖で
車が高田のアパートに着き、高田が車から降りる。
しばらく山倉の去って行く車の後を見ていた。
「夢? 夢だったのか·····。」
高田はアパートに帰ろうと振り返ると。
「え····」
目の前に、神社がある。
辺りが、撮影していた場所に変わっていた。
「高田、何か写ったか?」
光村が神社の建物の脇に立ち、高田に聞いてきた。
「え···何で····」
呆然としカメラを持ったまま立ち尽くす高田。
「おい! 何か写ったか聞いてんだよぉ」
光村が少し声を荒げる。
高田は困惑しながら
「いや···神社と····木くらい···しか」
「やっぱりなぁ」
光村が、困惑する高田に答えた。
「み···光村さん····?」
高田が声をかけた。
「うん? 何だよ?」
光村が高田に近付いて来た。
「どうしたよ? 何か変だぞ? 高田」
「いや···だって···そんな、何で···」
光村がハァと、溜め息をついて
「おいおい、何だよ? 巫女の悪霊に取り憑かれたかぁ、写真に写してくれよなぁ、どうせならよ」
「す···すいません····」
高田が小声で謝る····。
光村が後ろを振り向くと。
光村の頭の後ろに、無数の眼球が蠢いていた。
「うああああ!!!」
高田が叫びながら、ガバっと起きた。
自分のアパートの自宅にいる。
「ハァー、ハァー、ハァー···」
夢····夢?
高田は震えが止まらない。
これも夢か? 何か起こるのか?それとも現実か? 夢か? 現実なのか····。
高田は、居間の畳に横になって唸されて眠っていた····。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます