第一章 弐
男子高校生達に邪眼の巫女の話を聞く光村達。
「姿を見ても大丈夫らしいけど、ただ目を合わせたら呪われるって話だよな」
「いや、姿を見ても呪れるんじゃなかったっけ」
高田が高校生達の話をメモ帳に書いている。
「なるほど、巫女の霊が出る詳しい場所は知っているかな?神社らしいけど名前がなくて、何処にあるか探しているんだよ」
光村が巫女の霊が目撃された神社の場所を聞く、すると高校生の一人が指をさした。
指の方向には近くの山がある。
「あの山の参道を登れば、すぐに神社がありますよ」
光村達が、高校生が指さした山を確認し、高校生に振り返り。
「ありがとう、いきなりですまなかったね、助かったよ」
光村達は高校生達に礼を言いコンビニの前から歩き出し、一度、車がおいてある砂利だらけの駐車場に戻ることにした、懐中電灯が必要になると思ったからだった。
あいにく懐中電灯は、車の中に置いてきている。
高田が何気にコンビニに振り向くと、さっきまで話を聞かせてくれた、高校生三人がコンビニの前から姿を消していた。
高田は、高校生達はコンビニの中に入ったんだろうと思い前に振り向き光村と山倉に続いて歩いていく。
コンビニでは、客がいない店内を、店員がモップがけをしていた。
すでに日は沈みかけていた。
だが写真を撮るなら暗い方が、ただの神社でも不気味に写るものだろう。
参道の入口の前に、またも砂利が敷かれた駐車場があり、そこに車を置き、光村達は参道へ向かう。
光村達三人は、参道を登っていく、さすがに薄暗い。
町では夕暮れでも山に入ると、いきなり暗さが増す。
しばらく参道を登った所で鳥居が見えてきて、そして石段がある。
「ふぅ、アレかぁ」
光村が溜息をつきながら言う
「登りはきついなぁ····あとは石段かぁ」
高田も山倉も溜息をついた
運動不足の三人には登りの参道は多少こたえたようだ。
鳥居を潜り、石段を上がる、そんなに段数はない。
すっかり辺りは暗くなっている懐中電灯をつけ神社を照らす。
小さな神社は、かなりガタがきている。
地面には砂利が敷かれ所々に土が剥き出しになっている。
思いのほか境内は広かった。
「出るかなぁ····」
山倉が呟いた
「今までの取材で一度でも出たことあったか? 廃墟の病院にトンネル、どこに行っても幽霊なんか見たことなんかないだろ」
光村が煙草に火を着けグチるように言った。
「出たら出たで怖いっすけど」
その高田の言葉に光村が
「何で心霊現象関係の記者やってんだよ? まぁ他に雇ってくれる所がないもんなぁ」
神社の周りを、ひと通り調べ終え、高田が写真撮影を始める。
ヒュウウウ
静かに風の音が聞こえる·····
カシャ、カシャと写真を撮っていく高田。
光村が神社の建物の中を懐中電灯で照らし覗く、何やら札が床に数枚落ちている程度、中には入れないよう鍵がかかっている。
簡単に壊せそうだが、さすがにそれは気がひけると、光村は建物から離れ、高田に話かける。
「おう、どうだ? 何か写ってるか?」
「はい、神社や木が」
「だろうなぁ、後で巫女さんの画像でも薄く被せておきゃあいいか」
ヒュウウウ·····
風の吹く中、三人は神社を調べていた。
邪眼の巫女。
所詮は作り話か·····。
否。
これが始まりだった。
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