僕は人を好きでいたい

久繰 廻

僕は人を好きでいたい

人生は理不尽で、社会はよくできていて、

その無常が虚しくて、僕らは失意の中に眠る。


それでも、僕は希望を捨てられない。

このまま悪者ばかりの世の中で生きていく思いたくないから。


だから、人を好きなることにした。

そしたら、幾ばくか世界が輝いて見えると思ったから。

それに世の中の理不尽の大半は人間関係だから。


まず、どうして人を嫌うのか考えてみた。

答えは単純だった。

自分よりも下の人間がいないと、いるんだと思わないとやってけない。

そんな、ちっぽけな理由だった。


安心が欲しいから?支配欲を満たしたいから?

それは人によると思う。

もっと他の理由もあると思う。


けど、それは人を嫌うのに十分な理由になるの?


僕は考える。どうしたら人を嫌わずに済む?


簡単だ。最初から人を好きでいたらいい。


他人を嫌いになるのは簡単だ。

だけど、好きな人を嫌いになるなんてそう簡単なことじゃない。


優しくしてくれる善人を、

憧れのあの人を、

好きなあの子を、

仲のいい隣人を、

嫌いになんてなれるかい?


無理だろう?


だから、僕は決めたんだ。


初対面の人でも好きになろう。

そしたら、悪者も減って人生が少しはマシになるだろう。


僕は人を好きでいたい。

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