第2話、聖女エルフは素直になれない
私は生まれた時から世界を救うためと使命の元に生まれた。
だから普通の恋愛はできないと思っていた、たとえどんな見た目が悪くても勇者と呼ばれている人の為に頑張らなければならない。
親、族長にそして女神からそう言われて育ってきた。
それだから私は感情を殺す事にした、私は世界を救うために生まれてきただけでそれ以外に求めてはならないと自身に言い聞かせて育った。
そうして運命の勇者が現れたとして私はその勇者と合流をした。
その勇者様と出会った瞬間、私の灰色の人生がまるで色がついたような感覚に襲われたのである。
しばらくは分からなかったがこれが恋だとは魔王討伐の旅の途中で気がついたのであった。
でも勇者様には婚約者がいて私が入る隙間はなかった。そう、この恋は叶わないと理解をしてしまった。
それに気がついた時には運命を呪ったなんでもっと早く勇者様と出会えなかったのか。どうして勇者様の隣には既に他の女性がいるのか。
何で全てが手遅れになった時に私と勇者様は出会ってしまったのか、その全てを呪った。
だから私は勇者様に嫌われようとして何も興味がない冷たい女だと思わせて私も縁がない恋として諦めようとしていた。
けれども何度も何度もそう頑張っても恋を諦めることができなかった。それだけ私は勇者様に恋心を奪われてしまっていたのだ。
そうして魔王を倒して無理矢理でも恋を諦める時が来たようねと私はまるで処刑台に上がるような気分で王都に戻ってきた。
そこに待ち受けていたのは勇者様からすれば思いがけない不幸であり私からすれば思いがけない幸運が待っていた。
なんと勇者様の婚約者が王子と裏で関係を持っており勇者様との婚約を破棄をしたのだ。
勇者様は慌てていたけどそれを聞いた私は信じられないぐらいに落ち着いて聞いていた。
何故ならば勇者様の絶対に開かないと思っていた席が空席になったから。
絶対に他のものには渡さないとして本能が働いているのか落ち着いて計画を練っていた。
その後に私は勇者様の後について行こうとすると王子が君も僕の側室にならないかと言われたけどそんな事は興味ありませんからと軽く断った。
だけど王子は諦めが悪かったので軽く氷漬けにさせてから私は勇者様の元に向かった。
勇者様の匂いを頼りに歩いていると勇者様が何者だと言われたので私ですと姿を見せるとまさか、お前も俺を捕まえに来たのかと聞かれた。
いいえ、王国の手先ではありませんから・・・まあ、勇者様の恋心を捕まえに来たことには変わりはありませんけど。
そう伝えると疲れているのか勇者様はそうか、なら心配はないなとして座り込んで休んでいた。
その為に私は会話を始めようとしたけどどうやって話せばいいの?とここで重大なミスを思い出したのである。
私は嫌われようとして勇者様と一対一で話なんてしたことがないわ!
どうしましょう、こんな事になるのであれば私は絶対に勇者様とお話をしていたのにと昔の私の行為に恨みながらも必死に話題を作ろうとしていた。
「あの・・・今日も夜空が綺麗ですね、勇者様」
「別にいつもの事だろ、それに俺は勇者様ではなくなったから気にするな。普通にアガノと呼べよ」
どうしよう明らかに機嫌を悪くさせてしまった。誰か勇者様のご機嫌のとり方を知っている人はいませんか。
お金なら用意をしますからお願いしますー!と心の中で叫んでも答えなど返ってくることがなく無言が続いてしまっていた。
私はアガノ様にこれからどうしますかと尋ねるとその予定を話してくれた。
当分の間はひと目がつかない場所で暮らしてある程度に落ち着いてきたら田舎町で暮らしていくつもりらしい。
それは良い事ですねと伝えた、確かに忙しい都会よりも二人だけ・・・いいえ、子供も作って家族だけの時間を多く欲しいものですよね。
私もそうです・・・って!まだ勇者様、アガノ様とそんな関係になっていませんからと一人でボケてツッコミをして落ち着こうとしていた。
それよりも勇者様の好みの女性はやはりあの幼馴染みたいな女性なのかな。できる事ならば勇者様が喜ばれるような見た目にしたいから教えてくださると嬉しいなと思いながら勇者様を見つめていた。
そんな時に勇者様からユユミの目的はなんだと聞かれてしまった。
私は勇気を出してここで勇者様に告白をしようとしたのに出た言葉は違っていた。
「別に王都みたいな腐りきった者たちがいる所よりもこの様な自然が多い場所のほうが良いと思っただけよ。それに勇・・・いや、アガノとは旅を共にした仲間でもあるからある程度は信用できると考えたからここに来たのよ。それ以外は特にないわ」
・・・何を言っている、このヘタレと言うかど阿呆なエルフは言いたい言葉と出た言葉が全然違うのですけど!?
ここで言わないといつ言うつもりなの!?私!!
まさかのここまで私がヘタレだったなんて全力で殴りたいと思っていると勇者様がなるほどなと納得をしてくれて共に同行する事を許可をしてもらった。
まあ、最低限たけど目的はとりあえずは達成したから良いと思うしかない。
でも勇者様とまた旅に出るのだ、しかも今度は二人だけの旅!
間違いが起きるのは必然と言える、勇者様が私の事を好きになってもらう為に色々と行動を起こすわ。
(そうして私が誘惑して勇者様に一人の女にさせてもらって・・・フッフッフ、楽しみにですね勇者様♡)
そうして見た目は無表情のエルフ聖女であり中身は勇者に対して淫乱に近いエルフ性女の勇者、アガノに対する誘惑する旅が幕を開けたのだった。
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パーティーメンバーの殆どが寝取られてしまったので俺は密かに秘境の地で暮らそうとしていたら一番塩対応していた聖女がついてきたのですけど!? 人中の蝮 @atkeda
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