実家のキッチン

いととふゆ

夏の帰省

◇ 靴箱の上のドイリーカレーの香


(ドイリーとはレース編みの敷物。母の手作り。帰省ではカレー率が高い!

玄関から台所にいる母を感じさせます。お母さん、ありがとう)



◇ 星の角剝げし磁石や麦茶注ぐ


(冷蔵庫には昔からある星やハート型の磁石が。さらにパックの手作り麦茶を飲んで実家だなぁと感じます)



◇ カーテンの隠す幼き日の私


(小さな頃、よくキッチンの掃き出し窓のカーテンに隠れていた思い出。幼い日の私が大人になった私を隠れて見てる? 無季語ですね。レースカーテンだったら季語でOKだったかも? でもそれだと隠れられない……。)



◇ テーブルの吾の席レース編みの山


(ダイニングテーブルの私のスペースは物置きにされている……)



◇ 冷蔵庫の上を拭く冷蔵庫のやうな兄


(背の高い兄が冷蔵庫の上の埃を拭いています。うろ覚えですが、江國香織の小説で、恋人が背が高く、着ていた服が家の冷蔵庫の色と似ているから冷蔵庫と歩いているみたい、という描写がありました)



◇ アイスの棒汚れ落としになりにけり


(アイス自体は存在してないので、無季語の句になってしまいました。父親が私のためなのか、台所の床を掃除しています。溝の黒ずみをアイスの棒で削っていました。というか私が来る前にやっておくものでは……? いや、お父さん、ありがとう)



◇ 涼風やこんろの油汚れにも


(長年使っているコンロ。こびりついているコゲや油汚れ。夏の夜の涼しい風が台所を労っているようです)



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