280億光年のエアレンデル

@Eeeta

ここが入り口


久しぶりの外だ。地面に寝そべる。広い空を夕日が照らす。引きこもりではあるものの、外の世界も嫌いではない。子供の頃は、元気に走り回っていたのに。人生、何があるか分からない。仕事が上手くいかず、辞めたあの日。世間に気づかれることなく去った僕は案の定、引きこもりになった。

 空の色に同じ色なんてない。瞬きをすれば、その色は変わっていく。今日のこの空の色を何と名づけよう。

 空に星が輝き出す。僕の目に映っていく星たちに僕の心を変えることができようか。今になって、人生をやり直すなど世間が許さないだろうに。僕は、空の闇に潜む何かと目が合ったような気がした。遠いとこから、僕を起こそうと、顔を真っ赤にして叫ぶ星は目で見えずとも心が捉えた。

 そのとき、僕の心の中では再び太陽が昇った。

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