第2話 出会い

森の静寂を破り、新たな出会いがエリゼの前に訪れた。


1000年以上生きるエルフの魔法士、フリーレンが木々の間から姿を現す。


エリゼは、金髪が太陽の光を浴びて輝くその姿に、一瞬言葉を失った。しかし、フリーレンの鋭い瞳と落ち着いた佇まいに、エリゼはすぐに自分を取り戻した。


「あなたも、旅をしているの?」フリーレンの声は低く静かで、森のささやきと溶け合うようだった。


「ええ。仲間たちの墓を巡っているの。あなたは?」エリゼは微笑みを浮かべながら答えた。


フリーレンは少し考えるように目を閉じ、ゆっくりと頷いた。


「私も同じようなもの。過去の仲間たちの思い出を辿りながら、新たな旅を続けているの」


エリゼはその言葉に深く共感した。自分と同じように長い時間を生き、過去の仲間たちを思い続ける存在が目の前にいることに、不思議な安心感を覚えた。


「過去の仲間たちを思い出す旅……」エリゼは少し遠くを見つめながら呟いた。


「それは、長い時間を生きる私たちにとって大切なことなのね」


フリーレンは静かに頷き、その視線をエリゼに向けた。


「そうね。でも、私たちの旅はただの追憶ではない。未来に向かうための準備でもあるわ」


エリゼはその言葉に力強さを感じた。彼女たちは過去を振り返りつつも、未来に向かって進んでいる。それが二人の旅の本質なのだと感じた。


「共に旅をしませんか?私たちの過去と未来を繋ぐために」


エリゼは手を差し出し、心からの友好の意を示した。


フリーレンはその手を取り、軽く頷いた。


「いいでしょう。共に歩むことにしましょう」


二人の握手は、まるで新たな冒険の誓いのようだった。エリゼとフリーレンは肩を並べ、再び森の奥へと歩み始めた。


道中、二人はお互いの過去について話し始めた。


エリゼは、自分が魔法によって600年以上生き延びてきたことを語り、その長い年月の中で経験した喜びと悲しみを共有した。フリーレンもまた、1000年以上生きてきたエルフとしての視点から、数々の冒険と失われた仲間たちについて話した。


「時間の流れは、人間とエルフでは全く異なるわね」


エリゼはしみじみと語った。


「でも、だからこそ私たちはお互いの経験から学び合うことができるのかもしれない」


「そうかもしれないわね」


フリーレンは微笑んだ。


「私たちが出会ったのも、きっと何かの縁だと思う」


森の中を進む二人は、やがて古びた道標を見つけた。


それは、エリゼの仲間リデルの墓がある村への道を示していた。道標の文字は風化していたが、エリゼにはその場所が確かに記憶に残っていた。


「この道を行けば、リデルの墓がある村に着くわ」


エリゼはフリーレンに言った。


フリーレンは頷き、二人でその道を進むことにした。


道中、彼女たちは互いに魔法の技術を見せ合い、知識を共有し合った。


エリゼは特にフリーレンの防御魔法と治癒魔法に感心し、フリーレンはエリゼの時間操作魔法と雷撃魔法に驚嘆した。


「あなたの魔法は、私の知らないものばかりだわ」


フリーレンは感心した様子で言った。


「私も学びたいわね、その技術を」


「もちろん、喜んで教えるわ」


エリゼは微笑んだ。


「私たちの旅が、互いの成長に繋がることを願っているの」


やがて、二人は目的の村に到着した。


しかし、そこには異様な静寂が広がっていた。村人たちの姿は見えず、まるで時が止まったかのようだった。


「これは……」


フリーレンが周囲を見回しながら言った。


「何かが起きているわね」


エリゼもまた、緊張した面持ちで村を見渡した。


「まずは村の長老に話を聞いてみましょう」


二人は村の中心にある長老の家へと向かった。


長老は、彼女たちを出迎え、村で起きている奇妙な現象について話し始めた。村人たちが次々と失踪し、戻ってきた者は全て記憶を失っているというのだ。


「これはただ事ではないわ」


エリゼは眉をひそめた。


「何か大きな力が働いているのかもしれない」


「古代の遺跡が村の近くにあるんです」


長老は低い声で言った。


「そこに原因があるのかもしれません」


「遺跡……」


フリーレンは考え込むように呟いた。


「調査する価値がありそうね」


エリゼとフリーレンは、遺跡を調査するために村を出発することを決意した。


彼女たちの前には、まだ数多の困難と謎が待ち受けていた。


しかし、互いに支え合うことで、その困難を乗り越え、真実を見つけ出すことができると信じていた。

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