第3話 最初の目的地

エリゼとフリーレンが村の長老の家を出ると、夕暮れの光が村を黄金色に染めていた。しかし、その美しさとは裏腹に、村全体に漂う不安感は拭えなかった。二人は村の中央広場を通り、村の外れにある古代の遺跡へと向かう道を進んだ。


道中、エリゼはふと立ち止まり、辺りを見回した。


「この村、以前と何かが違う……」


フリーレンは頷きながら、エリゼの隣に立った。


「確かに。村人たちの表情からも、ただならぬものを感じるわ。」


エリゼはしばらく考え込んだ後、再び歩き始めた。


「何が起きているのか、早く確かめなければならないわ。」


二人は村の外れにある森に入った。そこは一見普通の森だったが、奥に進むにつれて空気が変わっていくのを感じた。木々は鬱蒼と茂り、まるで道を塞ぐように絡み合っていた。


エリゼは手をかざし、魔法の光を灯した。


「道が見えづらいけど、この光で進めるはず。」


フリーレンもまた、手をかざし、同じように光を灯した。


「私たちが進むべき道は、この先にあるはず。」


二人は慎重に足元を確かめながら進んだ。森の中は静かで、風の音さえも聞こえない。不気味な静寂が支配する中、エリゼは魔法の力を感じ取ろうとした。


「強い魔法の痕跡があるわ。この先に何かがある。」


フリーレンは頷き、エリゼの後を追った。


「気をつけて。何が待ち受けているかわからないわ。」


やがて二人は、古びた石柱が立ち並ぶ開けた場所に辿り着いた。そこには、かつて壮大な建物があったであろう遺跡の一部が残っていた。石柱には古代の文字が刻まれており、その一部は風化して読めなくなっていた。


エリゼは石柱に手を触れ、目を閉じた。


「この遺跡には強力な魔法が封じられている。注意が必要ね。」


フリーレンも同様に石柱に手を触れ、その感覚を確かめた。


「何かがこの場所を守っているように感じるわ。」


突然、足元から地面が震え始めた。二人は驚いて後退し、周囲を見回した。地面からは古代の魔法陣が浮かび上がり、眩い光を放ち始めた。


「何かが目覚めようとしている!」エリゼは警戒しながら叫んだ。


その瞬間、魔法陣の中心から巨大なゴーレムが現れた。石と魔法で構成されたその存在は、古代の力を宿していた。ゴーレムはゆっくりと動き出し、二人に向かって進んできた。


ゴーレムの姿は威圧的で、全身が岩の塊で構成されていた。目の部分には赤い光が宿り、腕は巨大なハンマーのように見えた。足元からは微かな震動が伝わり、その存在感は圧倒的だった。


「戦うしかないわね。」フリーレンは冷静に言った。


エリゼは頷き、魔法の力を手に集めた。


「このゴーレムを倒して、遺跡の謎を解き明かすわ。」


ゴーレムは大きな一歩を踏み出し、その足音は地面を揺るがせた。「ドン、ドン」という重低音が響き渡り、二人に迫ってきた。


エリゼは雷撃魔法「ライトニングストーム」を放ち、ゴーレムの動きを一時的に止めた。ゴーレムの体に雷が走り、「バチバチ」と音を立てながらその動きを鈍らせた。フリーレンは防御結界を展開し、「ビシッ」と透明なバリアが現れ、ゴーレムの攻撃を防いだ。


「フリーレン、今よ!」エリゼは叫びながら、さらに強力な雷撃を放った。「ズバッ」と雷撃がゴーレムに直撃し、その表面を焼き焦がした。


フリーレンはその瞬間を見逃さず、ゴーレムの核に向けて攻撃を集中させた。「シュッ」と音を立てて彼女の魔法がゴーレムの中心に突き刺さり、ゴーレムは一瞬のうちに崩れ落ちた。


ゴーレムの崩壊音が「ゴロゴロ」と響き渡り、石の塊が地面に散らばった。「やったわ。」エリゼは息をつきながら言った。「でも、これはまだ始まりに過ぎないわ。」


フリーレンもまた、息を整えながら頷いた。「この遺跡にはまだ多くの謎が残っているはず。」


二人は崩れ落ちたゴーレムの残骸を確認しながら、遺跡の奥へと進んだ。そこには、さらなる秘密と危険が待ち受けていることを感じ取っていた。

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