ババクラ
一郎丸ゆう子
第1話
時は2054年。少子高齢化問題が騒がれた時代の子どもたちが大人になり、有り余った高齢者をどうするかが国会で議論された。
そして、政府声明が発表された。
一定年齢を超えた国民は政府の指定する山に移住していただくことに決定いたしました。
盛大に抗議されたこの発表も、政府が強行した。
「どうする? これから」
山に移住させられた住民たちの話し合いが始まった。
移住とは名ばかりの何も無い山。つまり、姥捨山、政府はやっかいばらいをしたかったわけだ。
スーパーもコンビニもない。
「私達このまま死ぬのかしら。」
なんてこと思うわけないじゃん🤪
高度成長期にそだち、受験戦争をくぐりぬけ、バブルで遊びまくったこの世代の老人に悲壮感なんて言葉は似合わない。
「さって、山菜採りいくか」
農家出身の方が早速動く。
まあ、油ないから最初は茹でただけだけど、採れたてでめちゃ美味い。
「おおい、山葡萄がなってたぞう」
しばらくしたら放置されていた果樹がたくさん見つかって、みんなでわけあって食べた。
たくさん果実が採れたから、いろんな果実酒を作り始めた。
大学の醸造科出身の人がいたから、作り方もすぐわかったもんね。
農家出身の人や、農学部出身の人も一杯いたから、農業もすぐに始まって、お米も育ってきたから日本酒も作れるようになったよ。
お腹が満たされたら遊びたくなるよねえ。
で、元ホステスの人が作っちゃったよ、ババアが接客するキャバクラ、題して『ババクラ』
遊び慣れた世代のジジイたちに大受けで大繁盛。
色気で山を制したらしい。
評判が街まで広がって、物見遊山な若者も訪れるようになり、日本で一番豊かな場所になったとか、ならなかったとか。
ババクラ 一郎丸ゆう子 @imanemui
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