遅れてしまいましたが、説話翻案企画への参加ありがとうございました。
原話は、説話でありながら、主人公これという対決をすることがないまま、なんとなく財産を手に入れて、自身の問題を解決してしまうかのようなつくりの物語です。これを小説にする場合、おそらく主人公が何と「対決」をするのかというところが焦点となると思います。ところで、この小説は、主人公自身がまなざしに脅かされているが、そのまなざしを放つ敵たる「落蹲」もまた、我が子からのまなざしに脅かされているという、味のあるつくりになっています。絡み合うまなざしの戦場のようなものが立ち現れて終わる、美しい物語だと感じました。