松本市街地〜美ヶ原高原(王ヶ頭ホテル)

 僕達家族は美ヶ原高原の頂上にある王ヶ頭ホテルに向かっている。今晩はそこに泊まる。このホテルは本当に美ヶ原高原の山頂の王ヶ頭という電波塔がいっぱい建っているところにぽつんとあるホテルだ。


 松本市街地を抜け、美ヶ原高原に入ると段々気温が下がってきた。生えている植物も高原を車で登るにつれ背が低い木が多くなってきた。いわゆる高原植物というものだろう。

 やがて僕達一行は、王ヶ頭ホテルからやって来る送迎バスの駐車場に到着した。そこで送迎バスに乗り換える。

 バスの運転手さんは優しそうな笑顔を浮かべる陽気な方だった。駐車場から王ヶ頭ホテルまで15分ぐらいのアスファルトで塗装されていない砂利道だった。空が青く晴れているので遠くの山が見える。運転手さんが山の名前を教えてくれた。八ヶ岳、北アルプス、南アルプス、遠くには富士山も見えた。富士山は本当に遠くにあったが、なんとなく形でわかった。

 ホテルに着くと、職員さんが歓迎して下さった。たくさん話しかけて下さった。心遣いに胸が熱くなる。

 チョックインを済ませ、部屋に案内された。部屋からの景色は良く、山が見渡せた。なにせ、僕達は山の頂上にいるのだから。外国人のスタッフの方で日本語が上手いペラペラの方だった。山の名前までご丁寧に教えて下さった。

 案内が終わると僕は夕食まで時間があるので露天風呂に入りにいった。温泉は湯加減が程よく、景色もよく、遠くには高原の草を食べる牛などもおり、牧歌的な入浴体験だった。

 温泉の後はロビーでぼーとしていた。石油ストーブや薪ストーブがたかれ、とても良い香りがする。ずっとここに居たいなと思った。

 夕食の時間になった。食事処に通された僕達の席にはすでに夕食の準備が整っていた。お品書きが置いてあった。いくつかの小皿に小鍋があり、メインとご飯物はまだ来ていなかった。

 席に座るとすぐに担当のスタッフさんが来られ挨拶して下さった。25歳ぐらいの女性の方だった。出身を尋ねると地元の方らしいことがわかった。

 前菜、信州サーモンの刺し身、岩魚の塩焼きなどが運ばれてきた。前菜はひとつひとつ味がしっかりしており、噛めば噛むほど味全体が舌に染み渡る。信州サーモンはしつこくなくさっぱりとしていて、後味がよかった。岩魚の塩焼きは、ホカホカで良い味がした。

 続いてご飯物が運ばれてきた。松茸ご飯だった。おかわりは自由にしていいそうだ。僕はすぐに平らげた。スタッフを呼んでおかわりをした。僕は3回おかわりをした。スタッフに驚かれた。すると3回目のおかわりのときにスタッフが小鍋を持ってきた。

 「予備でつくったものがありますので、よろしければいかがですか?」

 松茸ご飯とともに、しゃぶしゃぶの小鍋も頂いた。

 「ええっ、いいんですか〜?(笑)」

 僕はスタッフさんのホスピタリティに驚かされた。同時に深く感謝した。

 そしてデザートを食べ、しばらくぼーっとしてると、またスタッフさんがやってきて、今度は、手に松茸ご飯のおにぎりを持っていた。

 「これ、松茸ご飯のおにぎりです(ニコッ)」


 ええっ、これもらっていいの?(笑)(感謝)


 ものすごいサービスだ。

 

 王ヶ頭ホテル、恐るべし。


 正直、感動しました。


 ありがとう王ヶ頭ホテル。

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松本、高山旅行記 久石あまね @amane11

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