第3話
恐る恐る瞼を開くと目に入ったのは草臥れたスニーカー。踵はだいぶすり減っている。
「占っちゃったから来てみたけどー。君、大丈夫?」
横たわる瑛晴の上から軽快な声が降り注ぐ。
この人は誰なのだろうか。いやそれよりもまずはあの見えない何かがどうなったのか。聞きたいことはあるのに声が出ない。
「おーい返事なしかい。ま、いっか」
スニーカーの男は踵を返すとなにかぶつぶつ唱え始めた。
途端にスニーカーの奥になにか禍々しいものが浮かび上がる。
「なん…だ、あれ」
「んー?なーんだ喋れるんじゃーん!」
男はケラケラ笑いながら瑛晴の身体を叩く。痛い。
「巻き込まれただけっぽいし、説明してあげたいのは山々なんだけどー……」
とりあえずここを離れないとね、と言うやいなや瑛晴の身体が地面から離れる。フワフワした
毛布に寝転がっている感触。
「は!?」
「じゃあ白。その子のことよろしくー」
男はひらひらと手を振ると瑛晴の眉間に指で軽く触れる。
次の瞬間、瑛晴は意識が遠のいた。
陰陽末末 中条芎 @nakajo_0408
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。陰陽末末の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます