第2話

 自分自身は随分凡庸な人間であった。少なくとも僕自身はそう思う。実際、幼少のころは十分に子供らしくあったと思う。5つ6つの頃にはテレビの中のヒーローに未来の自分を見ていた。なにか特別なかっこいい存在に、英雄になると思い込んでいた。僕たちは原石であり、いつかは磨かれ、ぎらぎらとまばゆいほど光を放つ日が来ると信じ込んでいた。誰だってそうだろう?

 ここで問題があった。気付いてしまったのだ。僕はその灯を失ってしまったことに。そしてなにより、今の社会はそういった人間にはあまりにも興味がなく、無価値とされてしまうことに。弊害だ。人間が増え過ぎたことの。なんでも手に入るようになった飽和社会の。

 だが社会のせいばかりにするわけにもいかない。これは僕自身の運と性格が悪かったせいでもある。

 すまない。だんだんと僕自身の思想的な話になってしまった。そんな話をするつもりではなかった。僕にはこれを推敲して丁寧にする余力はないんだ。だけども、どうか。この僕の昔話を読んでくれ。

 僕の贖罪と、君の幸福な未来のために。

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なしのつぶて トノイ @tonoi875

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