あの手紙
自分自身は随分凡庸な人間であった。少なくとも僕自身はそう思う。実際、幼少のころは十分に子供らしくあったと思う。5つ6つの頃にはテレビの中のヒーローに未来の自分を見ていた。なにか特別なかっこいい存在に、英雄になると思い込んでいた。僕たちは原石であり、いつかは磨かれ、ぎらぎらとまばゆいほど光を放つ日が来ると信じ込んでいた。誰だってそうだろう?
ここで問題があった。気付いてしまったのだ。僕はその灯を失ってしまったことに。そしてなにより、今の社会はそういった人間にはあまりにも興味がなく、無価値とされてしまうことに。弊害だ。人間が増え過ぎたことの。なんでも手に入るようになった飽和社会の。
だが社会のせいばかりにするわけにもいかない。これは僕自身の運と性格が悪かったせいでもある。
すまない。だんだんと僕自身の思想的な話になってしまった。そんな話をするつもりではなかった。僕にはこれを推敲して丁寧にする余力はないんだ。
つまりは僕は中途半端でどうしようもない人間で、倒錯した挙句わけのわからない人間になってしまったというだけの話だ。
だけども、どうか。この僕の昔話を読んでくれ。
僕の贖罪と、君の幸福な未来のために。
親愛なる君へ
なしのつぶて トノイ @tonoi875
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