笑顔中毒

脳幹 まこと

みんなも笑顔になろう


 ヤバい笑顔というものがある。

 ヤバい人が浮かべる笑みといった方が伝わりやすいか。

 口元だけがひきつったような笑みを浮かべており、目はギラついている(逆に死んでいる)。そういう笑顔だ。

 どうしてそんな表情を浮かべるのか、考えてみたことがあるだろうか。


 人は極度に追い詰められると笑顔になるらしい。自分を保つための現実逃避とも、周囲との関係を維持するために笑顔という安全策を採るとも言われている。

 しかし、最近の自分の体験をもとに分析してみると、実は笑顔そのものに麻薬のような効果があるのではないかと思っている。

 語弊を恐れず伝えるなら、無理にでも口元を綻ばせてみると「頭がぽや~っと幸せになる感じがする」のだ。

 口を半開きにした状態でやると更に効果が増す気がする。

 加えて、不思議なことなのだが、目が完全に放心状態か、逆に殺意を込めた苛烈な目付きの状態でやると、更に効果が倍くらいになるのだ。


 傍から見ると異常にも程があるが、これが良いのだ。情けないが気分が良くなるのだ。


 流石にそれを外でやるとヤバイ人なので、マスクをつけている。マスクの中でどれだけ口をだらけさせようが問題はない。

 意外と仲間は近くにいるかもしれない。

 マスクをつけていて、何もおかしくないのに表情が弛緩(あるいは殺伐と)している人はいないだろうか。

 だとしたら、その人は幸せを感じている最中かもしれない。

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