トンカラリ

エモリモエ

トンカラリ

ドーンと鳴った花火が

スチャラカホイ

はたを織りましょ

トンカラリ


見目よい娘が髪を梳く

いたずら小僧がやって来て

その美しい髪を一本

盗んでやろうと近づいた


娘は小僧に気がついて

魔法の歌を口にする


吹け、吹け、風よ

吹け、風よ

そして小僧を吹き飛ばせ

わたしの髪を盗む奴

悪い小僧を吹き飛ばせ


すると

強風がぴゅんときて

たちまち小僧は空のうえ

小僧はどこに行ったかな?

娘は髪を結い上げた


ドーンと鳴った花火は

スチャラカホイ

機を織りましょ

トンカラリ


いたずら小僧は空の旅

迷子になった雲の城

城のあるじは巨大な鬼で

金のがちょうを飼っている


がちょうは気づいた

迷子がいるぞ

小僧はあわてて走り去る


吹け、吹け、風よ

吹け、風よ

そしてがちょうを吹き飛ばせ

告げ口をする嫌な奴

悪いがちょうを吹き飛ばせ


すると

強風がぴゅんときて

あれよ、あれよといううちに

がちょうは地上に落っこちた


地上では

見目よい娘が髪を梳く

金のがちょうは近づいて

金の卵を生んで聞く


あなたの髪は美しい

わたしの卵も美しい

わたしはあなたの髪がほしい

あなたはわたしの卵がほしい?


ドーンと鳴った花火と

スチャラカホイ

機を織りましょ

トンカラリ


そうして

金のがちょうは

美しい髪を手に入れた

ひきかえに

見目よい娘は

金の卵を手に入れた

いたずら小僧は雲の城

いまでも迷子でいるそうな


トントンカラリ

トンカラリ

もうすぐ機も織りあがる

これで話はちゃんちゃんだ





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

トンカラリ エモリモエ @emorimoe

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る