第3話 ミッションⅠ

インターネット広告のタブで埋め尽くされた空。

俺は目の前に出現した、任務スタートと書かれたタブに手を添える。

「「ミッションスタート!!!」」

俺とまつが同時に、その言葉を放つと、俺らは青い光に包まれて、ポリゴンの欠片となって、どこかへ飛ばされる。


飛ばされた先で、俺は瞼を開くと、目の前には異常なほどに白い色をしている建物が目の前に出てきた。

「どうやら、うまく飛ばせたみたいだな。」

「そうだね!そんじゃ、任務を早速を始めよう!」


〈どこかのデータベース〉


俺は、右手に握った俺専用の武器、クリスアクターに弾丸を装填する。


「にしても、見る限り出入り口が見えないけど…大丈夫なのかな?」


「さあ?まあ、どこかに穴はあるはずだし、セキリュティがもうちょっとで出てくるだろうから、とりあえずは警戒を。」


「はーい」


まつも俺と同様に、武器のデザートイーグルの銃身を後ろへとずらし、コッキングする。


「そんじゃあ、一回建物に近づいてみるか。」


「おっけー」


俺とまつは、銃を握り、建物に向かって全力で足をフル回転する。


この世界はインターネットということもあって、疲れることはなく、そして、足の速度も桁違いに早い。


風を切る音が耳元でする。多分、70キロほどのスピードは出ているであろう。


すると、風を切る音に紛れて、警報音がデータベース上に鳴り響く。


『ウイルス発見!ウイルス発見!早急に排除します!』

「どうやら、セキリュティが出てくるみたいだぜ!!」

俺は後ろでついてくるまつに聞こえるように、走行中の最中言った。


「いつも通り、殲滅?」

「それで!!!」


風を斬ると、目の前に青い光が現れる。

青い光は、やがて人型になり、ゴツい装甲を着た人形のロボット兵器のような物が現れる。

人型の電脳特殊捜査隊ウイルスを排除するためのセキリュティ。

そいつらは、腕に機関銃を備え付け、いかにも殺しの道具のようだ。


「来るぞ!!!」

「うん!!」

『攻撃を開始します』


いくつものロボット兵器が俺らに向かって両腕の機関銃を向けると、花火のように輝く弾丸が俺らに向かって雨のように降り注ぐ。

俺らはそれでも怯むことなく、その弾丸の雨の中を突き進む。


少し、右側に逸れて弾丸の雨の斜角をずらしながら、俺らは突き進む。

「推定距離、300m!!!!」

まつが俺に向かって、現在の推移距離を告げると、俺は「了解!!」と返し、クリスベクターの横についているレバーを手前側に引く。


「推定距離、200m!!!」

弾丸の雨を避けるが、近づくにつれて少しずつ、弾と弾の密度が大きくなり

足元に幾つかの弾丸が散弾したのが分かる。


「推定距離、100m!!!もうちょっとだよ!!!」

90m…80m…

少しずつ、弾丸の雨の密度が大きくなり、耳元で弾丸が通る音が鳴り響く。

60m…50m…

どんどんと、ロボットの弾丸が放たれる音が近づいて来た。


「推定距離40m!!!陣形展開!!!!」

俺が左手を上に掲げると、素早くまつがその場から少し後ろ方向へ跳び、デザートイーグルの引き金に指を掛ける。


「クリスアクターの射程距離は45m!!!つまり、今がチャンス!!!」

俺は40mほど離れた場所で、動かずに佇みながら機関銃を放つロボットに向かって、クリスアクターの弾丸を撃ち込む。


ダダダダダダ!!!!!!


風船が割れるような細く鋭い音が鳴り響くと同時に、俺の肩に細かい反動が伝わる。

クリスアクターから放たれた弾丸は、ロボットの装甲を真っ二つにし、全弾を撃ち込んだ所で、一つのロボット兵器が爆発し、あたりに煙を蔓延させる。

俺は、それを機に足に力を入れ直して、方向を変え、まっすぐ、残りのロボット兵器が佇んでいる霧の中へ入った。


霧の中へ入ると同時に、空のマガジンを捨て新しい細い、30発装填式のマガジンをクリスアクターの中に入れる。

そして、すぐに、横にあるレバーを引きコッキングをし、準備完了。


『視界不安定!敵位置不明!!!』

俺はその声を元に、ロボット兵器の頭に弾丸を3発撃ち込む。

『一機死滅!!敵発見!弾丸装t…』

ダダダダダダ!!!!

もう一機、ロボット兵器に弾丸を撃ち込む。

「残り一機!!!」

『敵発見!!全弾発射します!!』

霧を振り払い、赤く目を光らせるロボット兵器は、俺に向かって機関銃を向けると、10mほどの距離で、弾丸の雨を放つ。


「ぐ!!まずい!!!」

『全弾発射!!!!』

「まつ!!!!」

俺は銃口の方向をよみ、9発ほど弾丸を避けるた後、地面を蹴り空中へと飛び込んだ。

「こっちも弾丸の雨だ!!!」

銃のトリガーに指をかけ、残り27発を全て撃ち尽くす。


わずかにこちらの方が早く、27発の弾丸を全弾撃ち込まれたロボット兵器は、自身についていた装甲をあたりに撒き散らし、ポリゴンの破片となった。

地面に着地した俺は空のマガジンを捨て、新しいマガジンに入れ直し、コッキングをすると、耳元を抑え、まつに通信を回して「第一陣突破」とメッセージを送った。



「どりゃあ!!!!」

その掛け声とともに、データの壁でできた大きな建物の壁を破壊する。

俺は周りを見渡すが、そこには、小さな通路があるだけで、セキリュティの姿は見えない。

「Aブロッククリア!」

『おっけー』

そういうと、すぐに、まつは通路に飛び込む。

「そんじゃ、多分真ん中あたりに行けば良いんだよな?」

「そうなんじゃない?」

あやふやな俺たちは、とりあえず感覚で、データベースの中を歩き回る。

「特に問題はなさそうだ。」

細い通路を辿っていくと、時期に、大きな扉が現れる。

「多分、こんなかになんかあるだろ。」


とりあえず、大きな扉の近くに、データ破壊用の爆弾を設置すると、大きな扉は光の欠片となって消えていく。

壊れた扉の奥には、不気味なほどに大きな大空間が広がっており、その空間の中央に一つの四角い箱が浮かんでいた。

「あれがファイルかな?」

「多分そうだろ。早いとこ取って帰ろうぜ」


俺が、そう言って、足を部屋の中に踏み出すと、一歩部屋に踏み入れた時点で、さっきまで何もなかったかのように起動していた大空間が、赤いライトによって染まる。

「ゑ、な、何これ?」


警告音のように、けたたましい音がする部屋は、まるで侵入者を追い出すように

どこかへ命令するような音をしていた。

「どうやら、これ、早く奪って帰った方が良いかも。」

「み、みたいだな…」


俺は、その言葉とともにフルスピードで、不気味に部屋の中心で浮かんだ、データベースのファイルを閉じ込めてある蓋に足を踏み出した。

宇宙空間にいるような浮遊間に襲われながらも、俺は、ファイルの箱に手を伸ばした。

「行ける!!」


と、俺が思った時、下の方から、とんでもない振動を感じた。

空中にいるためか、振動は感じないが尋常じゃないほどの振動が床を伝えっていることだけは理解できた。

そして、俺は、もうちょっとで手が届くという場面で、床の下から出てきた大型のセキリュティに邪魔をされる。

「ッチ!!!」


俺は、(物理的に)浮いた存在ではあったので、大型のロボット兵器に一振りされ、遠くの壁にぶっ飛ばされる。

「まつ!!!!」


ロボット兵器の頭に取り付けられた赤い目のような光。

それが今度は、まつに向けられた。

『侵入者、排除します』

ロボット兵器の肩や、腕から、機関銃やミサイルの収納口が展開されると、すぐに、機関銃や、ミサイルの雨が降り注ぐ。

「ぐ!!!」


まつはそれを避けるようにして、フルパワーで地を駆ける。

まつのすぐ後ろには、弾丸の雨が降り注いでおり、機動性がない兵器だったら、今頃はピクセルの欠片になっているだろう。

「クリスアクター!!!!」


俺は、武器の名前を呼び、ぶっ飛ばされた所に置いてきた愛銃を手元に呼び出す。

そして、少し斜め上に照準を向けて、引き金を引き、銃の中にある弾丸を全て、大型ロボット兵器に向かって吐きだす。

火を帯びて空気を突き破り、空中で弧を描いて、大型ロボット兵器に弾丸は着弾し、鉄と鉄がぶつかり合う。

しかしながら、推定射程距離は、多分、200m前後。

もちろん、サブマシンガンの射程距離は、40m〜45m射程距離外だ。

斜め上に撃って、最大射程距離の200mを引き出し、さらに何発か着弾できたのは奇跡だ。それでいい。


「どこ見てんだよ!粗大ゴミ!!」

俺は埋まっていた壁から脱却を果たすと、すぐにクリスアクターの空になったマガジンを捨て、新しいマガジンを挿入。クリスアクターのコッキングレバーを引く。

巨大ロボット兵器が、こちらを覗くと、すぐさま大きな機関銃や、ミサイルを向けて、大きな軍隊並みの兵力を一気にぶつけて来る。


「はは!!前進あるのみ!!!」

推定距離は、約200m。俺の走力なら、20秒ってところか…


「しゃあ!!!やってやる!!!」

俺は全速力で、突っ走る。

まず最初に弾丸の雨を、真横に跳び、少しの間避ける。

「まつ!!!」

「はいよ!!!!」


次に、こっそりと潜んでいた、まつのデザートイーグルが火を吹く。

まつのデザートイーグルの弾丸は、一つの機関銃の銃口をへし折ると、続けて、1秒も立たない内に、もう一発銃弾を、機関銃の銃口へ当てて、機関銃を働かせなくする。

「ナイスだ!!!」


俺は機動性の悪くなったロボット兵器に一気に距離を近づける。

すかさず、まつは、次に、ロボット兵器の関節部分に3秒も立たない内に数発の弾丸を入れ、体制を崩す。

俺は、自分に羽が生えたようなイメージで、倒れたロボット兵器の頭上へ、飛び出すと、クリスアクターの後頭部に、射程距離圏内で、マガジンが空になるまで、撃ち尽くす。

前から倒れたロボット兵器の後頭部は、クリスアクターの影響で、蜂の巣のようになり、力を失ったように、頭の赤いライトが、消える。

俺は、着地地点にいた大型ロボット兵器から素早く降りると、ロボット兵器は大きな煙をあげて爆発した。


「ミッションコンプリート!!」

俺は、クリスアクターを弾丸を詰め直して、決め台詞を放った。






まつの筋力について調べてみた。

https://kakuyomu.jp/users/Worstgift37564/news/16818093082175385614








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