第11話 Welcher ist Ihr Typ?(どっちがタイプ?)
「...これは...でしょう?であってる?」
「うん、大丈夫。それであってるよ」
「...随分と仲良しなのね」
二人並んで勉強していると、そんなことを口を挟んでくるライネ。
「...別に仲良くはないわ。ただの日本語勉強のために必要な存在なだけよ」
「じゃあ、エミーには私が教える」
「...まぁ、それでもいいけど。確かにライちゃんから学ぶ方が得られるものは多そうだし」と、言いながらもやや不服そうなエミーリエ。
早速、エミーとライちゃんで呼び合うほど仲良くなった二人。
一緒に住む以上、仲が良いに越したことはない。
それにうちもそんなに広くない分、エミーリエとライネは同室ということもあり、余計に仲良くないとやっていけない気がするしな。
「んじゃ、俺の役目はなさそうだし部屋に戻るわ」
「長峰はそこに居なさい」
「あんたはそこに居なさい」と、見事なハモリが入る。
仕方なくもう一度座り直して、漫画を読み始める。
「んで?どこが分からないの?」
「正直、読みは結構諦めてる。【3月1日に日の出を見たが、日光はあまり感じられなかった】とか、日の読み方多すぎて頭おかしくなるし。最低限意思疎通ができるレベルになれればいいかなーとは思うけど、日本で仕事するなら敬語はマストだし...ぶっちゃけどこまでやればいいか分からないで困ってる」
「...まぁ、日本で働くとしても今は結構英語マストの仕事もあるからね。ある程度日本語ができればオッケーだと思うけどね」
「英語ならそこそこ話せる」
「そう?なら大丈夫じゃない?てか、宗は将来の夢とか決まったの?せっかくドイツ語できるならドイツに行きたいとかあるの?」
「全くないな。ふつーに日本の会社で働きたいし。ドイツ語が生きるところがあればいいかなーと思うし、最悪生きなくても特技として披露できるし、無駄にはならないだろうと思ってる」
「ふーん。そっ。つまんないの」
「...つまんないって」
「ライちゃんは将来の夢とかあるの?」
「お嫁さん」
「...即答でお嫁さんなんだ」
「まぁ、基本的には家の仕事を引き継ぎそうだし、引き継いでくれるような優秀な旦那さんさえいれば他は特にいらないかな」
「ライネこそ、折角ドイツ語も英語も日本語もできるんだし、なんか生かせる職につけばいいのに」
「それもありだと思うけどね。今は大学に行くことしか考えてないし」
そんな話をしていると、母さんが帰って来て話に割り込んでくる。
相変わらずの母さんの勢いにやられる二人を見ながら笑っていると、俺も母さんに絡まれるのであった。
「それで?あんたはどっちがタイプなの?」
「...あのなぁ、一人は従兄妹だぞ」
「そういうのを抜きにして考えなさいよ」
「考えられるか!」
「でも、私も気になるかも」
「私も」と、便乗というか悪ノリする二人。
仕方ないなーと思いながら、エミーリエを指差す。
「...へぇ、そうなんだ」と満更でもないエミーリアと睨みつけてくるライネ。
そうして、翌日から1つ下の学年に転校することとなったライネはすぐに話題となるのであった。
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可愛すぎるドイツ人留学生の翻訳係に選ばれたのだが、発言がヤバすぎていい感じに訳すのしんど過ぎん? 田中又雄 @tanakamatao01
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