第21話 森を出ますっ

オリビア嬢を助けてた際に無断でスキルを使ったせいか僕はこの1年間ソフィアさんの鬼コーチの元に語学、武術、基礎力、応用力、魔法学、余った時間に他の国の語学を一度に頭に叩き込まれた。魔法学は基礎魔法しかわからなかったし僕のステータスにある魔法の『蒼龍』は調べると古代魔法のひとつだった。基礎しか理解できなかった僕が古代魔法の説明を聞いて10分、頭がパンクした。ソフィアさんも理解するのがやっとらしく使うことはできなかった。しかし、使える魔法はステータスに表示されるので僕は『蒼龍』を使えるはずなのだ。しかし、呪文を唱えても魔素や魔力による流れを知らなければ何も起こらない。どれほど自分の魔力と周りの魔素を使うか。その魔素をどのような性質にするか。元々魔法がない世界から来た僕にとっては難しかった。そして、もうひとつは僕の魔力。僕の体はこの世界に慣れておらず魔素が極端に少ない。ソフィアさんは何かの扉で閉じ込めてしまっている状態だと言っていた。それが何故か、いつの間にか開いていて魔素が通常の人間と同じ魔力になっているのがわかった。今までの僕の魔力は色んな魔物や魔族の魔力を吸い取っていたため汚くぐちゃぐちゃの状態だったらしい。容赦なく言ってくるので少し傷ついた。色んな種類の油と水が混ざりあっている感覚だ。それが僕の魔素が解放されたことによって僕の魔力に変わったらしい。きっかけはわからない。とりあえず良かったとソフィアさんは言ってくれた。

そして、これからのことだがソフィアさんは他の街の復旧を手伝ってきて欲しいと言われた。

「復旧?魔族の討伐じゃなくて?」

「それは問題ありません。私が復活し他の森の支援をすることで精霊たちも力を取り戻しつつあります。以前カナメが教えてくれた通り魔族は何故か慎重に行っている節があります。ここ一年何もありませんでしたしもしかしたら森を諦め首都や街の内部にひっそりと紛れ込んでいる可能性があります。それを確かめに行って欲しいのです。お願いできますか?」

なるほど。確かに魔族の攻撃がやんだ。ソフィアさんの言う通り内部に侵入している可能性はある。

「わかりました」

僕は少し考えたあと答えた。ソフィアさんはそれを聞いて安心したように笑う。

「では、最初の街に着いた時カナメには冒険者登録をしてもらいたいのですがよろしいですか?」

冒険者登録。異世界もののアニメでは定番だな。そこでステータスがわかりチート能力を手に入れる。そんなイメージだが僕は既に知っているし。そういえばステータスプレートは身分証明にもなるんだよな。

「大丈夫です。けど僕身分証明書とか持ってないし街に入れますか?」

最初の疑問を聞いてみる。するとソフィアさんはツリーハウスに飛んでいき何かを持ってきた。

「これを門番に見せてください。そうすれば入れますよ」

ソフィアさんは僕の右手を取りそこにひとつのコインをのせた。

「お金?」

複雑な紋様だ。細かなデザインに重みもある。とても価値のあるものだろう。

「いえ、身分証明書のかわりです。無くしても構いません。街に入ったらすぐにステータスプレートの発行をしてください」

お金じゃないんだ。じゃあなにこれ。

「これが何なのかは秘密です。いずれわかりますよ。そして、金貨100枚、あなたに渡します」

お、通貨出てきた。

ソフィアさんはジャラジャラと銀貨の入ったら袋を取り出し僕に渡す。金貨100枚。日本円にしたらいくらだろ。とりあえず金貨だしお金には困らないだろ。

「そして、これは古代魔法の本と水魔法の本です。旅に間でも勉強してください。水魔法は私の本ですがあなたの属性がまだわかりません。これからはっきりすると思います。そこで自分の得意な魔法を磨いてください」

ソフィアさんは肩掛けバックに本とお金身分証明書のかわりのコインを入れてくれた。コインは金貨よりもだいぶ大きかった。

「それと服装ですね。いつまでのそんな簡素の服を着せるわけに行きません。可愛らしい服を用意してますのでそれを着てください」

なんとなくソフィアさんは楽しそうにしている。僕はソフィアさんとしばらく離れるから寂しい気持ちなんだが。でもまぁ、ソフィアさんの頼み事だし仕方ない。

「さぁ、これを着てください!可愛いでしょう?」

そう言って差し出されたのは青をイメージに作られたフリフリのドレスだった。

「いやいやいや、いやいやいやいや!」

僕は一応女だから可愛らしい服を選ぶのは分かるがそれは確実に違うだろ。パーティー?僕は舞踏会にでも参加するのか?そんな服装だと動きにくいし恥ずかしい!絶対嫌だ!

「ドレス禁止!ズボン!ズボンにしてください!!」

嫌でもそんな服きたら絶対目立つ。ソフィアさんの頼みでも絶対に着たくない。

「どうしてですか!似合いますよ!着てください!着て欲しいんです!」

「絶対嫌だ!」

この会話が数分続いた。


結果、僕は男よりの服装になった。かなり地味な服装だし女要素が完璧に消えたせいで多分女とは思われないかもしれないが髪は一応可愛くポニーテールだから大丈夫だろう。

「可愛いのに…」

ソフィアさんはまだドレスを持って何かブツブツ言っていた。そんなの絶対着ないぞ。元の世界では常にパーカーばかり着ている僕からしたら程遠い世界だ。いっそ男っていう設定なら免れるかもしれない。

「動きにくいし汚したらどうするんだすか。僕は趣味じゃないんですよ。そういうの」

「けれど、一度でも見てみたかったです」

ガックリと肩を落とすソフィアさん。可愛い少女にそんな顔されると罪悪感が募る。やめてくれ。

「い、いろいろ終わったら…着ますよ」

言ってみた。もちろんいろいろとは魔族との戦いのことだ。少し照れくさい。こういうの死亡フラグと言うだろうが言ってみるだけいいだろう。

ソフィアさんは目をぱちくりとさせるがいつものように僕には微笑んでくれた。

「顔、真っ赤です」

うるさいよ。

こうして僕は森を出て近くの街、クヴェーへと向かった。






【名前】紺本 紀(こんもと かなめ)

【種族】人間

【性別】女

【年齢】19

【属性】なし

【職業】なし

【レベル】45

【称号】暴食、〖水の森〗の管理者

【スキル】悪食lvMAX、突風lvMAX、光合成、聴覚lv2、脚力lvMAX、暗視、復活、ポイズン、万能薬、精神抑制、体力回復lv2、解毒剤、解呪lv2、酸耐性lv3、酸lv3、威圧耐性lv3、吸収、威圧lvMAX、結界lv3、隠密lv3、催眠lv3、怪力lv3、糸lv3、痛覚耐性lv2、嗅覚lv2、

【魔法】蒼龍、給水、水球、水牢、火球、火操、風球、土球


【HP】650772139701/650772139701

【MP】37124608429/8967447001394

【攻撃力】563710042598

【防御力】697520720343

【魔力】8967447001394

【素早さ】755410799423

【運】308

【魅力】1

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

スキル『悪食』が化け物すぎたっ 柏谷和樹 @kaztuki123

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ