第12話

白に囲まれている。

このダンジョンは、白い謎の材質で出来ているようだ。

ここは部屋になっている。

四方が10mくらいの正方形みたいな感じだ。

奥の壁の真ん中に幅が50cmぐらいの道が続いている。


周りがすごく見にくい。

なんか変な感じだ。

だが、壁と床の間、壁と壁の間に黒い線があるおかげでなんとか部屋だと分かる。

立方体の図を書く時みたいな感じの線だ。


後ろにはあの扉がある。壁に付いてる。

ネットにもあった通りだ。

これに入ったら戻れるのだろう。



そして…

「スライムだ」



奥の壁の真ん中にある通路、その奥、5m程先に、もう1つ部屋がある。

そこには、スライムが居た。

通路越しに見えるだけでも2匹。あの部屋がここと同じぐらいの広さだったら、ほんとはもっといるんだろう。

まだこちらには気づいていないのか、襲ってくる様子は無い。



スライムは、音や、あるいは振動で敵を知覚している、というのが俺の推測だ。

だから、頭使って上手くやれば、安全にあいつらを倒すことが出来るのかもしれない。



だが、正面から戦ってもいけるんじゃないか?

レベルアップによって、かなり身体能力が上がっている。

先程便器から体を持ち上げた時にも感じた。

これまでの俺なら大分きつかっただろうに、全然楽にいけた。

木刀も、前持った時は重かったのに、今はあまり重く感じない。


それに、今の俺のHPは昨日の10倍だ。

昨日の時点で数回体当たりを受けても大丈夫だったんだし、何とかなるだろ。

楽観的かもしれないが。


ていうか、スライムごときでつまずいてたら最強になんてなれないだろう。



気づかれるかもしれないから、音を立てないようにゆっくり、リュックを下ろす。取り出した運動靴を履く。


木刀を数回振ってみる。

型とかは全く分からないが、ステータスのおかげでなんとか扱えそうだ。



目を瞑り、深呼吸をする。

「よし、行くか」



覚悟は決まった。

前へ進む。


通路の奥、あと一歩で部屋に入る所まで来た。

スライムは、10〜20匹ぐらい居るみたいだ。

だが、まだどいつも俺に気づいた様子は無い。

部屋に入るまで俺は知覚されないのだろうか。


であれば好都合だ。

部屋に突入してすぐ、手前3mの所にいるあいつの核をぶっ壊して、倒す。

その後は気合いだ。





木刀を右手で持ったまま、足を踏み入れる。


走る。

2歩で射程圏内に入った。


木刀を振り上げ、両手で振り下ろす。

手に固い感触があった。



《個体名:スライムを討伐しました》



殺った。

スライムは反応すら出来ていなかった。


近くに居た別のスライムが俺に気づいたようで、向かってくる。


ゆっくりに見えた。

昨日は俺よりも速かったスライムだが、今、全くその動きは脅威だとは感じない。


1歩踏み込み、飛び掛かってきたところに木刀を振り下ろす。




《個体名:スライムを討伐しました》



余裕だ。

このまま全部倒す。



「かかって来いよォ!」






《個体名:スライムを討伐しました》

《個体名:スライムを討伐しました》

《個体名:スライムを討伐しました》

《『分裂』の複製が成功しました》

《レベルアップしました》

《個体名:スライムを討伐しました》




1分も経たないうちに、生きているスライムは居なくなった。

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現代に現れたダンジョンで、最強を目指す 腋兄 @Ruei7

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