第11話
そうと決まれば、早速ダンジョンを探そう。
世界中に無数に現れたみたいだから、ちょっと探せばあるだろう。
もっと情報を集める、という手もあるが…
実際に行ってみるのが1番手っ取り早い。
100日間というタイムリミットもある。
身支度を手早くやろう。
朝飯食べてからずっと色々考えてたから、何もしてない。
先ずトイレに行く。
蓋を上げて便座に座る。
「ふぅ…」
ふと、なんとなく違和感を感じて、天井を見上げた。
「…え?こんなとこにあんの?」
天井に、ダンジョンの扉が付いていた。
昨日、あの黒の球体の部屋から出る時に見たやつと同じだから、多分間違いない。
ダンジョンの扉って、普通に地面に立ってるだけじゃないんだな…
まあ、奇妙な現象が起きるのは今に始まったことじゃない。
気を取り直していつもの身支度を終えたら、ダンジョン突入の準備をする。
武器として、木刀を選んだ。
父さんが昔剣道をやってたらしくて、家にずっと置いてあるんだ。
これより良い武器になりそうな物が無かった。
包丁も考えたが、リーチが短いし、俺が怪我しそうで怖くてやめた。
ちなみに、俺には剣道経験はない。
中学に入って約1年半、ほとんど帰宅部だ。
「ずっと」じゃないのは、入学して一瞬、将棋部に入ってたからだ。
数回行って、あんま面白くなかったから辞めた。
防具になりそうなものは、チャリのヘルメットぐらいだった。
服はジャージだ。
ごくごく稀に、外に走りに行く時に来てるやつ。
リュックに、500mlペットボトルの水と、一応、たまたま家にあったカロリーメイトを入れる。
まあ、こんな装備でも、ダンジョンからはすぐ帰ってくることも出来るみたいだし、何とかなるだろう。
問題は、どうやってダンジョンに行くかだ。
天井の高さは、手を伸ばしてもちょっと届かないぐらい。
そこに扉が付いてる。天井が壁になってるみたいな感じに。
便座の上に立って、扉の取っ手を回し、引き、開ける。
ちなみに土足ではない。リュックにいつもの運動靴を入れてる。
扉の先には、あの吸い込まれそうな黒だけが広がっている。
手を伸ばしてみる。…黒の中に手を入れるだけじゃ、ダンジョンには行けないみたいだ。
…登って、中に入るしかないか。
プールから上がる時みたいな感じでいけるんじゃないか?
木刀をリュックに突っ込む。
当然はみ出るが、落ちないように、出来るだけきつくチャックを閉める。
そして、天井の縁をつかみ、ジャンプして体をグッと引き上げる。
思ったより大分楽に体が引き上げられた。
頭が黒の中に入ると、視界も真っ黒になった。
でもダンジョンには行けてない。
「ふんっ!」
体を更に上げて、片足ずつ天井の裏に乗せ、全身が黒の中に入る。
視界が切り替わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます