第10話
妄想してたことが現実になって、興奮してしまった。
朝食を食べてから、あっという間に30分程が経っていた。
ステータスとかの確認はこれぐらいでいいだろう。
頭の中を整理しよう。
色んな事が起こりすぎてる。1回落ち着いて考えたい。
先ず問題は、アナウンスの内容だ。
あ、でもそういえば、何でダンジョンが世界中に現れたのは今日なのに、俺は昨日ダンジョンに入れたんだ?
それに、ドアを開けたら入れる、ってネットには書いてたけど、俺は穴に落ちて、それでダンジョンに入った。
…うーん。
なんでか分かんないけど、でも多分、あれは、本当はありえないことだったんじゃないか。
ネットで調べてる感じでは、まだダンジョンを踏破した人は居ない。少なくともそれを公言してる人は。
昨日俺が居たダンジョン程度の難易度なら、もう既にダンジョンを踏破した人がいくらでもいるはずだ。
ダンジョンが世界に現れる過程での、不具合
…とかに巻き込まれたんだろうか。
でもまあ、ダンジョンが世界に現れるなんていうことがそもそも意味不明なんだ。これは考えても仕方がないだろう。
ひとまず置いておこう。
それよりアナウンスの内容だ。
今から100日以内にある条件を達成しないとモンスターが溢れて、人類が滅亡する…か。
本当かどうかは分からない。
でも、わざわざそんな嘘を(誰がかは分からないけど)つく意味も分からない。
だが、いずれにせよダンジョンを攻略するしか道はない。
もし、世界中でモンスターが溢れたら…人類は滅亡するだろう。モンスターはあのスライムだけじゃない。もっと強いやつもいるみたいだ。
それが、世界中至る所から溢れ出てくるんだ。
なら、人類に出来るのはダンジョンに挑むことだけだ。
それにそもそも、俺はダンジョンに行きたい。
こういう世界を妄想してたんだ。行かない手は無い。
それに…俺が得たスキル、『最初の到達者』とか、『開拓者』とか。
俺がダンジョンに入ったのがもし手違いだったとしたら、本来なら他の、俺以外の勇気があるやつとか、強いやつとかが持ってたんだろう。
なら、なんていうか…俺はそれを得たんだから、ダンジョンを攻略しないといけない、っていう気がする。
責任感、義務感みたいなものを感じる。
うまく言葉には出来ないけど。
そして、なによりも、…俺は「特別」になれる何かが欲しい。
普通で、何の取り柄もない自分を認めたくなかった。
でも、学校に行って帰って来て、ダラダラして寝るだけで、何も努力してこなかった。
何も努力せずに、行動せずに、欲しいと喚くだけなんていうのが、ダメなことだっていうのは多分頭の片隅で分かってた。
でも、ずっと、何も出来なかった。しなかった。
何をしたら良いのか分からない、するべきなのかが分からないと言って、何もせずに、怠惰に過ごしてきた。
俺はダメなやつだ。普通の人よりずっと。
だけど、今、運でだが…人にはない力を手に入れた。
このチャンスを逃したくない。
このチャンスさえもふいにして、今までみたいに努力しなかったら、もう俺は終わりだ。
だから俺は、本気でやる。
「望み」を叶える。
「だから、絶対…最強になってやる!!」
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