第4話

男は額の汗を手で拭うと笑顔で言った。

「うん!これで大丈夫だ!皆安心してくれ。消化の三要素の一つである除去効果を実行した。ハハハこれでもう安心だ」

モヒカンAがワナワナと怒りに震えながら男に向かって言った。

「お・ま・え、頭大丈夫か?度を越えたバカとはお前の為にある言葉だ。普通タバコの火を消すとかじゃないのか?普通は?なんでガソリンの方を吹っ飛ばしてわざわざ爆発させる必要あるの?」

女もモヒカンAに加勢する。

「とてもとても大切な資源に何てことしてくれたのよ!命懸けで走った私の時間返してよ!」

四面楚歌の中、男は全く堪えることなく目をキラキラさせながら笑顔で言った。

「双方、その異常なほどに燃え盛る情熱には価値がある!是非、その力を・・・」

皆声を揃えて叫んだ。

「うるさい!」

男はほんのわずかだけ怯んだが気を取り戻すと皆に向かって言った。

「わかった!だが俺は決して諦めない!資格はその時代、時代にあったものが常に求められている。でも、最も大切な事は自分が情熱を注ぎ込めるかどうかだ。こんな混沌とした時代であっても、自分を信じて進む道になんら間違いはない。どんなに難関だろうが立ち向かうんだ!己を信じ全力で突き進め!何度だって立ち上がりその栄光をつかみ取れ!」

ガッツポーズを決める男に皆石を投げた。

「うるせー!もうあっち行け!」


「ハハハハ」

男は石をかわしながら高笑いを残し高く跳び上がると消えていった。


モヒカンAは呆気に取られながらもポツリと呟いた。

「なんなんだあいつ?資格の学校かなんかの回し者か?」

女もそれに返した。

「あんなに話がかみ合わない人間初めてだわ・・・」

すっかり場が白けしまい、皆そそくさ帰る準備を始めた。

モヒカンはモヒカンAに問いかけた。

「あいつ名も名乗らないで、何者だったんでしょうね?」

すると地獄耳の男が崖の上から姿を現した。

「ハハハ!よくぞ聞いてくれた。俺の名は危険物のケン!覚えておいてくれ!」

モヒカンAはすぐに反応した。

「ダサッ!」

女もびっくりする。

「え?なに危険物のケンって?あいつが危険ってこと?」

危険物のケンはまた高笑いを残して消えていった。

「ハハハ!諸君さらばだ!また会おう!」

本格的に皆やる気が失せトボトボと帰り始めたのだった。


帰りながらモヒカンBは思っていた。

(危険物のケン。超かっこいい。今度、危険物の試験受けてみようかな・・・)


ケンの挑戦はこれからも続いていく。

頑張れケン!

貫け危険物のケン!



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危険物のケン 遠藤 @endoTomorrow

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